マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
株式会社インベストラストの福永博之です。前回までの先物取引についての内容は、理解していただけましたか?今回からはオプション取引についてお話ししたいと思います。
ところで、オプション取引というと何やらとっつきにくいもののように感じてしまいますが、実は原理はとても簡単です。
オプション取引を説明する時によく引き合いに出されるのが、掛け捨ての保険です。掛け捨ての保険は、何か病気になった時、あらかじめ定められた条件に合致すれば入院費などの費用を保証してもらえるものですが、病気にならなければ掛け金はゼロになってしまいます。
オプション取引も大まかな仕組みはこうした保険と同じで、あらかじめ定めた条件に合致すれば満期日にお金が返ってきますが、条件に合致しないまま放置しておけば支払ったお金がゼロになるというものなのです。
では、そのあらかじめ定められた条件とは何でしょうか。それは、「コール」、「プット」、「権利行使価格」、「限月」の組み合わせです。
まず、コールとは、「買う権利」のことをいいます。またプットとは「売る権利」のことをいいます。
オプション取引は、この「買う権利」や「売る権利」を売買するわけですが、日経平均株価をいくらで売るのか、いくらで買うのかを示したのが権利行使価格になります。
例えば、日経平均株価を8,000円で買う権利のことを「権利行使価格8,000円のコール」といったり、8,000円で売る権利のことを「権利行使価格8,000円のプット」といったります。オプション取引は、いくらで日経平均株価を買う、売るといった権利を売買することになるわけです。また、この権利の値段のことをプレミアムといいます。
次にポイントになるのが期限です。いつまでに8,000円で買う権利を行使するのか、いつまでに8,000円で売る権利を行使するのかを決めなければいけません。ここでこの買う権利や売る権利の行使の期限を表すのが先物と同じ限月(ゲンゲツ)です。詳細はマネックス証券のこちらをご覧いただくとして、用語が理解できたところで、これから実際にどのオプションを買うのかを考えてみます。
幸いなことに2012年6月8日にメジャーSQを迎えますので、期間は短いですが6月限を例に銘柄を選択し、次回、SQ値でオプションの自動決済が行われたあと、損益がどのようになったのか結果を検証してみたいと思います。
では実際に銘柄を選ぶ手順についてお話しします。まずは、「買う権利」か「売る権利」かが重要になります。続いては「権利行使価格」です。また、権利行使価格と先ほどお話ししたプレミアムの差も重要になってきます。
ちなみに、2012年6月4日の日経平均の終値は8,295円63銭でしたが、6月8日のSQ値は今日の終値を上回るのではないかと予想して銘柄を選びたいと思います。
また今回SQ値は8,000円を下回らないと考えて、6月限の8,000円のコールオプションを1枚300円(実際の値段=30万円)で購入したことにします。
一方、今日の終値を下回ると同時に8,000円も下回ると考える人は、現在価格に最も近い権利行使価格8,250円のプットオプションを1枚80円(実際の価格8万円)で購入します。
さて、来週のSQ値はどのような値になるのでしょうか。また、どちらかのオプションは権利行使価格を下回ってゼロになってしまうのでしょうか。みなさんも是非シミュレーションしてみてください。次回の検証をお楽しみに!!
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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