マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
株式会社インベストラストの福永博之です。先週は2012年6月4日の終値を基準にコールオプション(買う権利)とプットオプション(売る権利)の2銘柄を選び、6月8日のSQで利益が出るか損失になるかの検証をするとお話ししていましたね。
実際の結果はどうなったのでしょうか?早速見てみましょう。
まずは購入したそれぞれのオプションを確認します。一つは8,000円を下回ることはないと考えて、権利行使価格が8,000円の6月限コールオプションを300円で1枚(実際の購入代金は30万円)購入しました。
また8,000円を下回る可能性を考えて8,250円のプットオプションを8円で1枚(購入代金は8,000円)購入しました。そして8日の実際のSQ値は8,613円40銭になりましたが、損益の結果はどうだったのでしょうか?何かワクワクしますね。
オプションも先物もSQ値で精算される場合、自動決済され手数料などの諸経費を差し引いた金額が先物・オプション取引口座に入金されることになります。
では、権利行使価格8,000円のコールオプションからみてみましょう。
このときの計算方法ですが、先物の場合、買値とSQ値との差額が損益額になりましたが、オプションの場合は権利行使価格とSQ値との差額が損益額になります。
今回のコールオプションの権利行使価格は8,000円でしたので、SQ値(8,613円40銭)との差額を計算すると(8,613円40銭―8,000円)×1枚で613円40銭となりました。
またこれを1,000倍して61万3,400円(手数料などの諸経費を含む)が、SQ値で精算された金額となります。
さらに購入代金の30万円を差し引くと61万3,400円-30万円=31万3,400円の利益が出たことになり、4日から8日の4日間で投資額に対して倍以上の利益を上げることができたことになります。
一方、今回のケースでオプションと同様に先物を8,300円で購入しても、SQ値で精算した場合、コールオプションと同額の利益が得られた計算になります。
ただ、コールオプション購入の場合、SQ値が権利行使価格の8,000円を下回って価値がゼロになってしまっても損失は購入代金の30万円に限定されますが、先物の場合、仮に8,000円を下回ってSQ値が7,950円になってしまうと(7,950円(SQ値)-8,300円(購入価格))×1枚×1,000倍=-35万円となり、コールオプション購入時の最大損失より5万円分損失が拡大することになってしまいます。
一方でSQ値が8,200円だった場合のコールオプションの損益はどうなっていたのでしょうか?この場合ですが、(8,200円(SQ値)-8,000円(権利行使価格))×1枚×1,000倍=20万円が口座に振り込まれることになりますが、購入金額が30万円でしたので、この場合は10万円の損失となっていたことになります。
したがって、オプションを購入するときは、SQ値が購入価格(プレミアム)を上回らなければ損失になってしまうということも頭に入れておきましょう。
続いて、プットオプションの結果を見てみましょう。権利行使価格8,250円のプットオプションを8,000円で購入していましたが、SQ値が権利行使価格の8,250円より高くなったために価値がゼロになり、8,000円が損失となってしまいました。
いかがだったでしょうか。このようにオプションは先物と比較して損失が限定されるというメリットがありながら、先物と同様に利益があげられることになるのがお分かりいただけたでしょうか。
次回もオプションの話が続きます。
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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