第9回 不動産を束ねたETFとは? 【ETF解体新書】

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第9回 不動産を束ねたETFとは? 【ETF解体新書】

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。一昔前に証券会社で「すみません、不動産ください!」なんて言ったら、怪訝な顔をされたことでしょう。今ではREIT(不動産投資信託)が株式市場に上場し、個別株と同じように「ひとつの銘柄」として取引されています。

REITの歴史は意外に長く、1960年にアメリカで最初のREITが登場しました。それまで「実物資産」であり売買単価が高かった不動産が、「有価証券」となって毎日市場で値段が付く商品に変貌したわけです。日本でも2001年に初のREITが上場し、今では東京証券取引所にオフィスビル系、商業施設系、賃貸住宅、物流倉庫系などを含め、計35本のREITが上場しています。

例えば、オフィスビル系のREITは、器の中に多数の実物不動産(オフィスビル)を組み入れています。REITの収益の源泉は、ひとつひとつの不動産が生み出す家賃収入です。不動産ETFは、直接、実物の不動産を組み入れるわけではありません。不動産ETFはその器の中に「多数のREIT」を内包しているのです。換言しますと、不動産ETFとは、多数の実物不動産を組み入れるREITを、さらに多数組み入れる「二重構造のファンド」であると言えます。

具体例を挙げてみましょう。日本初の不動産ETF、NEXT FUNDS東証REIT指数連動型上場投信(1343)は、2008年9月に上場を果たしました。当該ETFは「東証REIT指数」との連動を目指します(上記指数は、東京証券取引所に上場するREIT全銘柄を対象とするインデックスです)。当該ETFは2012年7月6日の終値が1,007円で、売買単位が10口であるため、1万円程度から売買することが可能です。
当ETFは分配金を2月、5月、8月、11月と年4 回出します。不動産ETFは分配金というインカムが主な収益源ですが、株式市場に上場する「銘柄」でもあるため、その市場価格は株式マーケットの動向に影響を受けます(時に株式と同様のボラティリティーが発生することもあり注意が必要です)。

同じく不動産ETFとして、上場インデックスファンドJリート(東証REIT指数)隔月分配型(1345)があります。こちらは2012年7月6日の終値が957円で、売買単位が100口で10万円程度から売買することが可能です。
当該ETFは奇数月に分配金を出します(当ETFも東証REIT指数との連動を目指します)。また、海外REITに投資を行うETFとして、上場インデックスファンド豪州リート(1555)が挙げられます。当ETFはオーストラリアのREITを束ねたETFです。
組入れ比率1位のREIT「ウエストフィールド・グループ」は世界でショッピングセンター(SC)を運営するものであり、保有するSCの52%が豪州、29%が米国、14%がイギリス(2011年のアニュアルレポートより)となっています。

世界的に見れば、実物資産から有価証券の流れはまだ始まったばかりであり、今後、REIT市場は拡大を続けることが予想されます。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表 
晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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