マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
J-REIT市場の価格は6月の上昇相場から一服感を示し、東証REIT指数は7月に入ってから950ポイントを挟んで推移しています。当面のJ-REIT市場は、アメリカのQE3(追加金融緩和)実施など投資家を後押しする材料が加わらない限り、現状の水準を維持する可能性が高いと考えられます。J-REIT市場の価格が6月に9%近く上昇したため、利益確定売りに押されやすい状態になっているためです。
さて今回は、福岡リート投資法人(証券コード8968、以下、福岡リートとします)を参考に、商業施設系銘柄の投資ポイントについて記載していきます。福岡リートは、オフィスビルや住居にも投資していますが、取得額に占める商業施設の保有割合が67%程度となっていますので主として商業施設に投資する銘柄です。ここで福岡リートを参考とする理由は、商業施設銘柄の投資判断に重要な情報開示が多いためです。
商業施設系の銘柄に投資する場合、判断材料として重要になる点は賃貸借契約の内容と考えられます。商業施設は、競合店の出現などによって収益性が大幅に変化することがあります。それに伴って賃料の変動幅が大きくなるため、他の用途と比較して賃貸借契約の内容が重要になるのです。
J-REITが商業施設を取得した場合、プレスリリースには「長期契約を締結しているため、安定的な収益が期待できます」という内容が記載されている場合があります。長期契約は投資判断にとってプラス材料と言えますが、注目すべき点はそれだけではありません。賃料の安定性を確保するためには、契約期間中の賃料更新と途中解約はそれぞれ不可となっている必要があるのです。
長期契約・賃料更新不可・中途解約原則禁止という、いわば「三点セット」がプレスリリースなどで確認できない場合、投資家として判断する材料は、その商業施設の売上動向しかありません。売上が急激に低下している場合には、賃料減額の可能性が高まるためです。
福岡リートが保有する9棟のうち6棟は、長期契約・賃料減額不可・中途解約原則禁止という収益安定のための「三点セット」で大半のテナントと締結されています。また「三点セット」の契約となっていない残りの3棟の売上動向を決算説明会資料で開示しています。取得額に対する比率は図表の通りとなります。賃料の変動要因がある物件の保有比率がやや高くなってはいますが、福岡リートが保有する商業施設の収益動向は、投資家としても判断しやすくなっていると考えられるのです。
図表:福岡リートの用途別比率(取得額比、2012年6月末現在)
このような情報開示は、商業施設を保有する全ての銘柄で行われているわけではありません。商業施設系銘柄への投資にあたっては、他用途に投資する銘柄以上に情報開示内容を十分確認しておく必要性が高いと考えられるのです。
コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介
<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>
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