第1回 SQのアノマリーについて 【福永博之の先物・オプション講座 ステップアップ編】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第1回 SQのアノマリーについて 【福永博之の先物・オプション講座 ステップアップ編】

みなさんこんにちは。(株)インベストラストの福永博之です。今回から、再び先物・オプションについてお話しします。

突然ですが、みなさんはアノマリーという言葉を聞いたことがありますか?株式市場で使われる場合のアノマリー「anomaly」ですが、「経験上絶対ではないものの、ある一定の傾向が認められるもの」というふうに私は解釈しています。

そこで、このアノマリーを使ってお話ししたいのが、「SQ値とその後の株価トレンド」の関係です。SQは、3ヵ月ごとに先物やミニ先物とオプションの清算が同時に行われるメジャーSQと、ミニ先物とオプションのみの清算が行われるミニSQとがあります。

これらのSQのなかで今回注目してお話しするのがメジャーSQの値と株価トレンドの関係です。

以下の表1をご覧ください。

【SQ算出日と限月とSQ値】

この表はメジャーとミニSQの値を記載したものです。また赤の太字になっているのが、メジャーSQの日付とSQ値になります。

では、この「SQ値とその後の株価のトレンド」にどのような関係があるというのでしょうか?今度は下記の日経平均株価のチャートをご覧ください。

このチャートはSQ算出日からSQ値の水準に横線を引いたものですが、2011年12月9日以降、メジャーSQの値を上回ったところから上昇トレンドが始まり、2012年3月9日以降は、この値を下回ったところから下降トレンドが続いているのがわかります。

また、6月以降はSQ値を上回ったあと75日移動平均線に押し返され、一旦下回る場面がありましたが、再び上回ったあとはSQ値が支えとなり9月6日以降反発する結果となりました。

このように、メジャーSQを上回るか下回るかすると、大きなトレンドが発生しやすい状況にあるということがおわかりいただけたでしょうか。もちろん、統計上はもっとサンプル数を増やす必要がありますが、2011年末以降の傾向としては、しっかりトレンドが発生していると言えるのではないでしょうか。

では、こうした動きから、今週末のSQ値を予測すると、どういったことが考えられるでしょう?

ひとつは、「このまま反発が続くか、下落しても6月のSQ値で下げ渋る」。もうひとつは「SQ値を下回らせようとして、売る動きが加速する」などが挙げられます。

 でも、なぜこうしたアノマリーが発生するのでしょうか?
ここからは私見ですが、メジャーSQは3ヵ月ごとに清算が行われ売買高が膨らむ傾向にあるため、ここで裁定取引のポジションを清算したり、新たに構築したりといったことが行われます。そのため、買いポジションを持っている投資家は利益を確保するためにSQ値を上回る必要があります。

一方売りポジションを持っている投資家はSQ値を下回る必要が出てきます。そうした投資家の思惑が背景となって、トレンドが加速したり、強弱が対立したりといった結果になるのではないかと考えられるのです。特に売買高の少ない現在では、こうした思惑によって動かされやすいのではないでしょうか。

さて、アノマリーを考慮した週末SQの予測に戻りますが、このまま6月のSQ値を上回った状態が続くようですと、SQ値が上昇する可能性が高くなり9000円台を目指すことになるかもしれませんが、一方で6月SQ値を割り込んでしまった場合は、ショートポジションを持っている投資家の売りが強まることが考えられ、ロングポジションを持っている人や個別株を持っている投資家も注意が必要になると考えられるのです。

週末のSQですが、どのような結果になるか来週検証しますのでお楽しみに。
コラム執筆:福永 博之

株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。

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