マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。最近、ETFの業界では上場金融商品(Exchange Traded Products)という言い方が広まってきています。略して「ETP」どうして「ETP」という言い方をするかというと、米国ではもはやひと括りで多様な上場商品を語り切れなくなっているためです。たとえば、特定の指数や、資産価格との連動を目指すだけではない、「アクティブ型の上場商品」が台頭しています。いわゆる「アクティブETF」です。えっ?と驚かれる人がいるかもしれませんね。もともとETFは、上場インデックス・ファンドと定義されてきたわけですから・・。
しかし昨今は、ETFを「証券取引所に上場するファンド」と捉える動きが広がっています。つまり、アクティブ・ファンドが上場し、ETFと同じスキームを持てば、それらは即ちETFの一種となるという認識です。世界初のアクティブETFは2008年3月に米国で誕生しています。ベアー・スターンズ・アセット・マネジメントが運用した「The Bear Stearns Current Yield Fund」です。当該ETF は米ドル建ての短期債券を組み入れ、MMFのリターンを上回ることを目指していました。しかし、このETFは十分な純資産を集めることが出来ず、2008年10月に上場廃止となりました。XTFという情報サイトで検索すると、米国には現在53本のアクティブETFが上場していることが分かります。http://www.xtf.co.jp/Research/
資産別では債券ETFがもっとも多く、次いで株式ETF、通貨ETFとなっています。アクティブETFにとって最大の課題は、情報開示の義務をどうクリアするかでしょう。ETFは日々、自身のポートフォリオを開示することが義務付けられています。これは投資家にとっては透明性を担保するよい仕組みなのですが、アクティブETFの運用会社としては運用の手の内を明らかにすることになるため抵抗が強いのです。
しかし、運用会社にもメリットはあります。自身のアクティブ・ファンドを市場に上場させ、アクティブETFとすれば、販売会社が間に入ることがなくなるため、信託報酬などの年間報酬を引き下げても、自身の実入りは多くなる可能性が高くなるのです。イメージとしては、現存するアクティブ・ファンドのミラー(鏡)として、アクティブETFを設定するというケースです。その代表例が、今年の3月に米国市場に上場を果たした「ピムコ・トータルリターンETF」です。これは債券アクティブETFなのですが、当商品の元となっているのは、25年の運用期間を誇る「ピムコ・トータルリターン・ファンド」です(通常の債券アクティブ・ファンドです)。
当ファンドはアメリカでもっとも純資産額が大きな投資信託のひとつとして知られています。また、ピムコの創業者で当ファンドのファンドマネージャーでもあるBill Gross氏は業界内では有名人です。上記は、同じ内容の商品が一方は投資信託として、もう一方はETFとして存在する例ですが、この形が進むといったい何が起こるのか・・。遠くない将来、「投資信託って、上場しているタイプ(ETF)も、上場していないタイプ(既存のファンド)も、どちらでも買えるんだね」という世界が現出している可能性があります。
コラム執筆:カン・チュンド
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
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