マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
東証REIT指数は、2012年8月24日に直近高値の7月2日970.86ポイントを超えると、7月から8月の中旬にかけて続いた940ポイントから960ポイント前後のボックス圏から脱し上昇に転じました。さらに9月13日の米国FRBによるQE3(量的金融緩和第3弾)、2012年9月19日の日銀の追加金融緩和を受けて東証REIT指数は9月19日に991.42ポイントまで上昇しました。
これらの金融緩和によりJ-REITの価格は、短期的にはさらに上昇する可能性が高いものと考えられます。ただし、今回の上昇相場も2012年2月から3月の時と同様に短期的なものとなりそうです。
その理由として次の三点が挙げられます。
【1】金融緩和策決定の背景に景気回復の遅れがある
【2】欧州債務危機問題が再発した中での上昇相場ではない
【3】J-REIT価格の上昇で増資を行う銘柄が増え、需給悪化要因になる
J-REIT価格に対する影響は、従来と同様に【2】の欧州問題再発が最も大きくなりそうです。すでにJ-REITの価格が高値圏にあると考えている場合は、短期的な下落局面になる【2】が起きてからJ-REIT投資を行っても遅くはないと考えられます。
また【1】の景気回復の遅れによる影響もJ-REIT投資を検討する上で軽視できません。景気回復の遅れは、オフィスビル賃貸市況に悪影響を与えるためです。新聞などでは、「オフィスビル市況が回復に向かいつつある」という報道を目にする機会が増えています。実際にJ-REITの銘柄の中でもジャパンエクセレント投資法人(証券コード8987、以下JEI)が、第14期(2013年6月期)の業績予想の前提として、既存物件の賃料が第13期(2012年12月期)比で増加することを見込んでいます。
ただし、JEIの業績予想はJ-REITの中では異例とも言えるものです。大半のオフィス系銘柄は、既存物件の収益減少は当面避けられないとしています。物件取得余力がある銘柄は、減少分を新規取得物件の収益増加で補うという業績予想になっています。
オフィスビル市況は、本連載(2012年6月20日)で記載した通りオフィスビルの「2012年問題」に直面し軟調な状態で推移しています。景気回復が遅れることで2013年中に底打ちすることが難しくなる可能性もあるのです。この場合、消費税増税を2014年に控えていることを考慮するとオフィスビル市況は当面、下落を続けることも想定されます。
従って、J-REIT投資の戦略としては、オフィス系銘柄以外を選択することを最優先すべきでしょう。一方でオフィスビルの収益の回復を見込む投資家の場合は、2014年以降でも保有し続けられるという、やや長期的な投資戦略を持つ必要があると考えられます。
なお弊社(アイビー総研株式会社)は、個人投資家向けのセミナーを下記の通り開催いたします。
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個人投資家のためのJ-REITフォーラム(参加無料)
【日時】 2012年10月4日(木) 18:20~20:50
【場所】 ベルサール八重洲 2階
(東京都中央区八重洲1-3-7 八重洲ファーストフィナンシャルビル)
【対象】 個人投資家 180名 (先着申込)
【受講料】 無料 (但し、事前のお申し込みが必要です)
【プログラム詳細及びお申し込み】
http://www.japan-reit.com/page/seminar121004.html
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