マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
いよいよ9月も最終週となりました。この9月最終週というのは企業や株主にとってとても重要な月です。たとえば、3月期決算企業は中間期の業績が確定する月ですし、株主にとっては、配当や優待を受け取る権利が確定する月でもあります。
そうした9月の中間決算における配当落ちに関係する現物と先物の独特の関係が「逆ザヤ」です。
通常は順ザヤといって、現物よりも先物価格の方が、金利を上乗せした分高いのですが、3月、6月、9月、12月は、月初に先物の限月(ゲンゲツ)交代が行われ、配当が落ちた先物価格に変わる一方で、現物指数は下旬の権利付き最終売買日まで配当を含んだ指数が算出されるため、権利落ち日まで逆ザヤ状態が続くことになるのです。
それでは、現物指数と225先物の9月24日の価格を見てみましょう。現物指数が9,069円29銭、225先物の終値が8,990円となっており、その差はおよそ79円です。
市場の予想では配当落ち分は60円から70円といわれており、大体その差に落ち着いているといえます。
では前置きはこれくらいにして、この配当落ちの動きを考慮して、ここから今回のテーマである「先物のトレンドから日経平均株価の先行きを予測」してみたいと思います。
まず、2012年9月24日の日経平均株価の終値ですが、これは先ほどお話しした通り、9月26日以降に60円から70円分の配当が落ち、その分株価も前日比で値下がりしてスタートすることになります。
したがって、26日以降の日経平均株価を予測する場合、配当落ち分も考慮して株価を予想しなければいけないわけです。
ところで、単純に考えても今日の終値から70円差し引いたとすると、26日は9,000円ぎりぎりのところからスタートすることになりそうということが予想できます。
さらに、皆さんは前回のSQ値とアノマリーについての解説を覚えていらっしゃいますか?メジャーSQの値を割り込むかどうかでその後のトレンドに変化が表れるとしてお話ししましたが、9月のSQ値は9,076円79銭で、24日の終値ですでに割り込んでおり、このまま横ばいで権利落ち日をむかえれば、今年の3月以降のような状況になりかねないということが容易に想像できるのではないでしょうか。
一方で26日当日、権利落ち後に株価の上昇を期待した買いが入り、下げ渋って前日比変わらずまで戻して取引を終えた場合、「配当落ち分を埋めた」といい、過去の経験則では相場が強いことを表しているととらえられ、その後の株価が堅調に推移するかもしれません。
さて、今月はどのような結果になるのか要注目ですが、前述したことに加え、配当落ち後に現物指数と225先物の両方が25日移動平均線を割り込みますと、先物と現物指数の両方で上昇トレンドが崩れることになり、今年3月27日以降の株価と同様な値動き(下降トレンド入り)が見られるかもしれませんので注意したいところです。
(本原稿は2012年9月24日に執筆いたしました。)
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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