第4回 オプションの権利行使価格と建玉の見方について【福永博之の先物・オプション講座 ステップアップ編】

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第4回 オプションの権利行使価格と建玉の見方について【福永博之の先物・オプション講座 ステップアップ編】

こんにちは。インベストラストの福永博之です。この原稿をみなさんがご覧になる10月2日は、名実ともに下期相場入りしていると同時に、翌週の金曜日にはオプションと先物ミニのSQ算出日を迎える週になります。

そこで今回から、具体的な事例を踏まえつつオプション取引に関連する情報の見方についてお話ししていきたいと思いますが、ステップアップ編ということもあり、単純なオプションに関する情報の見方ということではなく、権利行使価格と建玉(未決済残高)の関係から先行きを読み解く方法について福永流でお話をしたいと思います。

まずはオプションの権利行使価格についてです。みなさんはオプションの権利行使価格を見る場合、何に注意して見ていますか?

私は、ここでお話しするケースのようにSQ算出日が近づいてくると、期近(現在は10月限)のアットザマネーを中心にして、上下どの権利行使価格の建玉が多いかを見るようにしています。

なぜなら、建玉が多いコールやプットの権利行使価格が、株価上昇時の抵抗になったり、下落時のサポートになったりすることがよく見られるからです。

今回のケースで、コールとプット両方の権利行使価格で建玉の多いところを9月27日時点でピックアップして見ると・・・。

コールでは権利行使価格9,500円の建玉35,000枚超がもっとも多く、続いて9,250円の25,000枚超、さらに9,000円の24,000枚超などと、9,000円から9,500円までの権利行使価格に建玉が集中しているのがわかります。その他の権利行使価格では、9,750円と1万円の権利行使価格の建玉が19,000枚前後と比較的多くなっています。

一方プットオプションでは、権利行使価格8,000円の建玉が36,000枚超ともっとも多く、次に多いのが権利行使価格8,500円の30,000枚超と、8,000円と8,500円に建玉が集中しています。

こうした建玉の状況を見て、みなさんは今後の動向をどう読み解きますか?ここでのポイントですが、建玉が多い権利行使価格に注目するだけでなく、コールとプットのどちらの権利行使価格に実際の価格が近付いていくかということなのです。

オプション取引はみなさんご存知のように現物が存在しませんから、売っている人は買い戻すか、支払いに応じなければなりません。そうなりますと、これらの権利行使価格の建玉のなかで、ショートポジションを持っている投資家は、損を覚悟で買い戻すか、損失回避のために、先物を使って売買するしか方法がないのです。

仮にプットオプションの8,500円を下回るようなことになれば、8,500円の権利行使価格をショートしている投資家は、オプションプレミアムの上昇に対して支払いが発生し、損失になってしまいます。

一方、9,000円のコールオプションを売っている投資家も同様で、9,000円以上に株価が上昇した場合、支払いが発生し損失につながることになります。

そうなりますと、8,500円以下にはならないと考えている投資家(=8,500円プット売り)と9,000円以上にはならないと考えている投資家(=9,000円コール売り)の間に挟まれて、動けない状況になるのではないかという予想が成り立つわけです。

一方で、こうした権利行使価格のどちらかをブレイクするような株価の上昇や下落が起こった場合、いわゆる波乱ということになるのではないかと思われます。

したがって、波乱がなければ、SQは8,500円と9,000円の間で決まるように思われますが、さて、実際の日経平均株価は、9,000円のコール、8,500円または8,000円のプットの、どちらの価格に近づいて行くでしょうか。それとも、ほとんど動かない相場状況になるのでしょうか。

次回は、この1週間で建玉数がどのように変化し、価格がどちらに近づいているかを検証しながら、ミニSQがどうなるか予測してみたいと思います。

(本原稿は2012年9月27日に執筆いたしました。)

コラム執筆:福永 博之

株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。

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