マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。ETF運用会社ブラックロックのレポート「ETP Landscape」によると、2012年9月末現在、世界には3,297本のETFが上場しています(商品ETF、レバレッジ・インバース型は含まず)。2000年のはじめ、世界中に30本のETFしか存在しなかったことを考えると、この10数年のETFの成長はまさに驚異的です。米国初のETFは1993年1月、ふたつの巨大なビルの狭間で産声を上げました。巨大なビルのひとつは「個別株」、もうひとつのビルは「投資信託」です。ETFはこの両者の間に独自のマーケットを創り上げたのです(これほど短い期間の間に、これほど大きな発展を遂げた金融ツールは未だかつて存在しません)。
ETF最初の転機は1996年に訪れました(※ 以下、上場市場はいずれもアメリカです)。この年、モルガン・スタンレーが17本のWorld Equity Benchmark Shares(WEBS)、つまり外国株式ETFをアメリカン証券取引所に上場させました(しかし結局、モルガン・スタンレーはETFの運用部門をバークレイズ・グローバル・インベスターズ(BGI)に売却します・・)。その後、98年にはダウ平均との連動を目指す「スパイダー・ダウジョーンズ・インダストリアルアベレージETF」(DIA)が上場、また、99年にはナスダック100との連動を目指す「パワーシェアーズ・QQQ」(QQQ)が登場し、ETFは徐々にその知名度を高めていきます。
そして2000年に、前述のバークレイズ・グローバル・インベスターズ(BGI)が自身のブランドを「iシェアーズ」と改め、一挙に10数本のETFを市場に投入しました。このときはじめてETFは単体の銘柄から、何十種類にもまたがる商品ラインナップに生まれ変わったのです。同年、初めての不動産ETFが上場を果たし、2002年には初の債券ETFが登場します。米国人投資家の間でも「えっ、ETFって債券もOKなの?」という驚きがあったようです。株式に比べてボラティリティーが小さい債券ETFの登場は、ETFの間口を一挙に広めました。
2004年には、金価格との連動を目指すETF「スパイダー・ゴールドシェア」(GLD)が上場します。2005年には初の通貨ETFが登場、2006年には商品指数に連動するETF、「パワーシェアーズDBコモディティインデックス・トラッキングファンド」(DBC)が上場しました。さらに同年、インバース・レバレッジ型ETFが登場し、トレーダーの間にもETFが本格的に広がり始めました。ここに至って投資家は、ETFが単なる金融商品ではなく、マルチな資産に対応する新しい金融の器(うつわ)であることを知ります。
香港では1999年にETFが上場、欧州では2000年、日本では2001年、韓国では2002年、そしてタイには2007年にETFが初めて登場します。現在、世界100ヶ国以上に株式市場が存在しますが、ETFが上場する国はまだ少数派です。今後、シンプル、低コストに、さまざまな地域のさまざまな資産にアクセスしたいという投資家のニーズを、ETFは取り込んでいくことでしょう。
最後に、ハンガリーのある化学者の格言から引用します。「それがなかった世の中が想像できなくなる・・。優れた発明品とはそういうものだ。」
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
マネックスからのご留意事項
「特集1」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。