マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
株式会社インベストラストの福永博之です。2012年10月12日はオプションSQ算出日でしたね。結果はどうだったでしょうか?週の前半は下落基調となりましたが、9,000円から8,500円の範囲に収まるのではないかと予想した通り、SQ値は8,517円75銭という結果になりました。
先週前半の株価動向からしますと、8,500円を割り込んでしまうのではないかと思われた方がたくさんいるのではないでしょうか。
また他の人は、たった17円75銭の違いだから8,500円割れと同じじゃないかと思われるかもしれません。しかし、オプション取引においては権利行使価格を上回るか下回るかは大きな違いなのです。
なぜなら、今回オプションの建て玉が多いところとして指摘した権利行使価格8,500円を上回るか、そうでないかで、買っている人も売っている人も利益がプラスになるか、ゼロになってしまうのか、あるいは損失が拡大してしまうのか、といった大きな違いがでるからです。
たとえば今回、予想レンジの下限として指摘した権利行使価格8,500円は、建て玉が多い権利行使価格ですから、前述のように8,500円を割るか、割らないかで、損益に多大な影響を受ける投資家が多く存在すると考えられ、8,500円を割り込んでほしくない投資家は下落したところを買って下支えや値上がりすることを狙うと予想されますし、8500円を割り込んだほうが利益が出る投資家も、割り込んでほしくない投資家がいる価格帯を敢えてリスクを取って売り込むことは避けたいといった「暗黙のバランス」のようなものがはたらき、8,500円以下を売る投資家が出てこなかったと考えられるのではないでしょうか。
もちろん、悪材料などが出たときは、そうした投資家の思惑とは別に8,500円を割り込んで下落することが考えられますし、逆に良い材料またはニュースが出たときには大きく反発したかもしれません。
実はこうした株価の先行きに対する考え方がオプション取引を行ううえでもっとも重要です。たとえば、単に株価が上がる、下がる、といった単純な考え方のときには、オプション以外にも現物株や信用取引を使って利益を追求することができますが、株価がレンジ相場で動くと考えられるケースや、保ち合い(もちあい)から株価が上下どちらかに放れるかもしれないといった投資戦略が立てづらく、判断が難しいようなときにもオプションを活用することで利益追求やリスクヘッジが行えるようになるのです。
そこで次回は、売買判断が難しい保ち合いのケースを想定してオプションを使った戦略についてお話ししたいと思います。
来週からお話しすることは、みなさんの考え方によって戦略が異なるものになりますので、日経平均株価が「いつまで」に、「いくらになる」など、予想を立てられるようにマーケットの方向感や株価に影響を与えそうなイベントなどを来週までにしっかり思い描いてみてください。
そうすれば、次回の原稿の内容がスムーズに頭に入ってくると思います。
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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