第6回 信用取引の制度変更から可能となる戦略について④(デイトレードの売り) 【福永博之の信用取引講座 ~制度変更について~】

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第6回 信用取引の制度変更から可能となる戦略について④(デイトレードの売り) 【福永博之の信用取引講座 ~制度変更について~】

株式会社インベストラストの福永博之です。今回はショート(売り)戦略時における銘柄選びについて考えてみたいと思います。
前回、信用取引の制度が変わることによって下落する時の値動きが荒くなりそうだとお話ししましたが、そうした値動きをチャンスに変えられるような銘柄を選ぶのか、あるいは少し値動きがゆっくりしそうな銘柄を選ぶのか、どちらを選ぶかが銘柄選びのポイントになりそうです。

では、「値動きが荒そうな銘柄」とはどのような銘柄か、から考えてみましょう。値動きが荒いとは、価格が動きやすいということを指しています。といっても上昇しやすいという意味ではなくて、上下に動きやすいと考えてください。
では、皆さんも自身の経験上でどういった銘柄の値動きが荒いのか、あるいは荒かったのかを想像あるいは思い出してみてください。

一般的に値動きの荒くなりそうな銘柄として考えられるポイントは、いわゆる「板」と「注文数量」だと思います。板とは注文の状況を表したボードのことで、たとえば、呼び値が1円刻みの場合、151円に売り注文100万株、150円に買い注文80万株といったケースや、呼び値が10円刻みの銘柄では、14,850円に売り注文3,000株、14,840円に買い注文4,000株というようなケースが挙げられます。
さて、どちらのケースが荒い値動きになると思いますか?
私は後者の方だと思います。なぜなら、株数が少ないため、お金のある投資家が回転売買を行おうとした場合、一気に数十円上まで買って直ぐに売り注文を出すということができると考えるからです。また逆に下落する時も同様で、一気に数十円下まで売ることが可能だと考えられるでしょう。
したがって、こうしたいわゆる値がさ株を売買する場合、株数を多く売買するのではなく、値幅を取っていくような売買を行うことが考えられるのです。
理由はほかにもあります。値動きが荒くなる分、株数を多く保有したあとに逆方向に動いた場合の損失が大きくなる可能性があることから、株数を減らしことでリスクをコントロールしようとすることが考えられるのです。

逆に低位株の場合はそうはいきません。なぜなら、前述のように数十万株から数百万株程度の注文が1注文あたりに入ってきますので、注文が遅くなってしまいますと順番が後回しになってしまうほか、取引が成立しない可能性が出てきます。
そのため、投資家は約定したと同時に指値を入れて、決済されるのを待つということになるのではないでしょうか。
また、こうした低位株を選んだ場合は、市場全体の売買高の状況にも気を配る必要があります。

たとえば、12月に入ってから(3日~7日)の一日当たりの売買高はおよそ19億株超ですが、低位株を選んでトレードしようとしたときに、売買高が25億株や30億株できているときなどは、もっと早いスピードで取引が成立していると考えられ、株価も早く動くのではないかと思われます。
さらに売り銘柄選びで注意点があります。これは、通常の信用取引の時にもお話ししたことですが、発行済み株式数が少なく、浮動株比率の低い銘柄は逆日歩が発生しやすいことが考えられ注意が必要ですので、念のため付け加えておきます。
そして次回ですが、ペアトレードについて考えてみたいと思います。

コラム執筆:福永 博之

株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。

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