第19回「ETFを推奨する米国のアドバイザー」 【ETF解体新書】

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第19回「ETFを推奨する米国のアドバイザー」 【ETF解体新書】

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。米国はETFの純資産額ベースで世界の約70%を占める最大の市場です。そんな米国でETFの普及に大きな役割を果たしたのが、ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれる人たちです。

実は米国ではCFP(ファイナンシャルプランナー)やCFA(証券アナリスト)などが、投資アドバイザー(Investment Advisor)として各州で登録し、顧客に対してポートフォリオ、金融商品の助言を行っています。
「でも、ETFを勧めても儲からないんじゃないですか・・。」
あなたはそう思われるかもしれません。ETFの場合、投資家が直接「証券会社」に注文を出し、売買委託手数料を支払うのみであり、販売手数料という概念がありません。しかし、前述したアドバイザーの多くは、金融商品の販売で手数料(コミッション)を得ているのではありません。各アドバイザーはそれぞれ独立自営しており、顧客の預かり資産残高に応じてパーセンテージで報酬(フィー)を請求するのです(これをフィーベースの報酬体系と呼びます)。

具体例を挙げてみましょう。米国のテネシー州にステインハイバーさんという人がいます。彼はAgile Investments を経営する投資アドバイザーです。Agile Investmentsのサイトをご覧いただくと、Exchange Traded Fundsのページ内に、「私たちのポートフォリオには、次のようなETFを採用しています」という文言が確認できます。実際、ステインハイバーさんは以下のようなETFを用いて、顧客にポートフォリオ助言を行っているのです。Vanguard Dividend Appreciation (VIG 高配当株)、Vanguard Short Term Corporate Bond (VCSH 社債)、Vanguard FTSE All-World Ex-U.S. (VEU 海外株式)、SPDR Gold Shares (GLD 金)、WisdomTree Dreyfus Emerging Currency (CEW 新興国通貨)、 Pimco Enhanced Short Maturity (MINT 債券)、 iShares Global Infrastructure (IGF グローバルセクター)などです(GLDはマネックス証券でも購入可能ですね)。

また、米国の投資アドバイザーは、投資の提案を「ポートフォリオ」単位で認識しています。顧客に勧めるポートフォリオを構成するツールとして、ETFを用いているのです。ではなぜ、米国のアドバイザーはETFを推奨するのでしょうか?彼ら/彼女らの収益の源泉は、顧客の預かり資産残高に応じた管理手数料(フィー)です。顧客の資産残高が増えることがアドバイザーの利益につながるわけですね。したがって、低コストで顧客の潜在リターンを高めてくれるETFを用いることが、顧客、アドバイザー、双方の利益に適うわけです(いわゆるWin-Winの関係です)。また、ETFは多様な投資対象をカバーしているため、ポートフォリオにはめ込みやすいという理由もあります。日本では現状、手数料(コミッション)ベースのアドバイザーがほとんどであるため、本来顧客にとって魅力的なETFが推奨されにくい構造となっています。また米国では、ETFの運用会社が投資アドバイザーにETFの有用性について、有形無形の教育活動を行ってきたことも忘れるべきではないでしょう。

Agile Investments
http://www.agileinvesting.com/


コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表 

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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