マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。米国はETFの純資産額ベースで世界の約70%を占める最大の市場です。そんな米国でETFの普及に大きな役割を果たしたのが、ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれる人たちです。
実は米国ではCFP(ファイナンシャルプランナー)やCFA(証券アナリスト)などが、投資アドバイザー(Investment Advisor)として各州で登録し、顧客に対してポートフォリオ、金融商品の助言を行っています。
「でも、ETFを勧めても儲からないんじゃないですか・・。」
あなたはそう思われるかもしれません。ETFの場合、投資家が直接「証券会社」に注文を出し、売買委託手数料を支払うのみであり、販売手数料という概念がありません。しかし、前述したアドバイザーの多くは、金融商品の販売で手数料(コミッション)を得ているのではありません。各アドバイザーはそれぞれ独立自営しており、顧客の預かり資産残高に応じてパーセンテージで報酬(フィー)を請求するのです(これをフィーベースの報酬体系と呼びます)。
具体例を挙げてみましょう。米国のテネシー州にステインハイバーさんという人がいます。彼はAgile Investments を経営する投資アドバイザーです。Agile Investmentsのサイトをご覧いただくと、Exchange Traded Fundsのページ内に、「私たちのポートフォリオには、次のようなETFを採用しています」という文言が確認できます。実際、ステインハイバーさんは以下のようなETFを用いて、顧客にポートフォリオ助言を行っているのです。Vanguard Dividend Appreciation (VIG 高配当株)、Vanguard Short Term Corporate Bond (VCSH 社債)、Vanguard FTSE All-World Ex-U.S. (VEU 海外株式)、SPDR Gold Shares (GLD 金)、WisdomTree Dreyfus Emerging Currency (CEW 新興国通貨)、 Pimco Enhanced Short Maturity (MINT 債券)、 iShares Global Infrastructure (IGF グローバルセクター)などです(GLDはマネックス証券でも購入可能ですね)。
また、米国の投資アドバイザーは、投資の提案を「ポートフォリオ」単位で認識しています。顧客に勧めるポートフォリオを構成するツールとして、ETFを用いているのです。ではなぜ、米国のアドバイザーはETFを推奨するのでしょうか?彼ら/彼女らの収益の源泉は、顧客の預かり資産残高に応じた管理手数料(フィー)です。顧客の資産残高が増えることがアドバイザーの利益につながるわけですね。したがって、低コストで顧客の潜在リターンを高めてくれるETFを用いることが、顧客、アドバイザー、双方の利益に適うわけです(いわゆるWin-Winの関係です)。また、ETFは多様な投資対象をカバーしているため、ポートフォリオにはめ込みやすいという理由もあります。日本では現状、手数料(コミッション)ベースのアドバイザーがほとんどであるため、本来顧客にとって魅力的なETFが推奨されにくい構造となっています。また米国では、ETFの運用会社が投資アドバイザーにETFの有用性について、有形無形の教育活動を行ってきたことも忘れるべきではないでしょう。
Agile Investments
http://www.agileinvesting.com/
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
マネックスからのご留意事項
「特集1」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。