マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
株式会社インベストラストの福永博之です。早いもので12月もあと2週間ほどになってしまいました。そして同じく、信用取引の新制度もあと2週間ほどで始まります。
これまで個別株売買について、いろいろ戦略を考えてきましたが、今回はペアトレードについて考えてみたいと思います。
ペアトレードとは、2銘柄の価格差に着目したさや取り取引のことを言います。たとえば、連動性の高い2銘柄の価格差が広がったところで価格が高い銘柄を売り、価格が安い銘柄を買います。そして、価格差が縮まったところで両方一緒に返済するといったトレードを行うのです。
このトレードの利点は、2銘柄の価格差が縮まれば利益が出るため、相場の上昇や下落と言った局面に左右されることが少ないことにあります。
一方デメリットとしては、2銘柄の価格差が広がった場合にマイナスが拡大することや、利益率が比較的低いことが挙げられます。
このような特徴があるペアトレードですが、信用取引の制度が変わることで何か戦略が考えられるでしょうか?
私は、こうしたペアトレードでもある程度の回転売買が増加するのではないかと考えています。なぜなら、ペアトレードのデメリットとして挙げた利益率の小ささですが、証拠金の範囲内で何度でも売買が可能になるとすると、価格差(スプレッド)の拡大縮小が繰り返される時に何回か売買を行い、利益額を大きくすることが可能になると考えられるからです。
また、回転売買が可能になることから、ほんの少しでも価格差が縮まると返済する動きが活発になると同時に、価格差が少しでも広がると再びペアトレードを仕掛けてくるといったことが起こるのではないかと思われます。
これまで一日利用できる保証金の額に限りがあったため、時間をかけて価格差が縮まる動きを狙うことがペアトレードの戦略だったと考えていますが、これからのペアトレードは、値動きも予想以上に早くなることを想定して売買タイミングなどの戦略を考えていく必要があるのではないでしょうか。
仮に価格差の拡大や縮小と言った値動きが早くなってしまうと、これまでゆっくりセットしたり返済したりすることができたペアトレードも、売買タイミングや価格差がパフォーマンスに影響を与えることになりそうです。
仮に、ここで予測したような値動きがペアトレードで起こるとすると、日中の値動きに合わせてセットと返済の売買タイミングを計るか、あるいはあらかじめ指値をセットしておいて約定したあと直ぐに利益確保を優先するようなトレードを行った方が、少ない回数で行うペアトレードよりも、成功したときの利益額の積み上げが大きくなるのではないでしょうか。
また、ペアトレードを行うときですが、流動性の高い銘柄を選ぶと、ここで予測したような値動きの傾向が強くなると思われます。
なぜなら、流動性の高い銘柄は個別での売買も活発と考えられるからです。個別での売買が活発な銘柄の場合、これまでお話ししてきたように、値動きが活発になる可能性がありますので、ペアトレードをセットする際や返済する際の売買タイミングに注意が必要ではないかと思われます。特に逆方向に動き出した時のロスカットが重要になりそうですね。
そこで次回、年内最終回となりますが、ペアトレードの銘柄選びについてお話したいと思います。
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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