マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
株式会社インベストラストの福永博之です。今回はペアトレードの銘柄選びについてです。いよいよ来年1月から信用取引の制度変更がスタートしますね。これまでスタートしたあと値動きが激しくなるのではないかとお話ししてきましたが、この影響はペアトレードでも考慮しなければならない問題だと思われます。
なぜなら、値動きが激しくなった場合、チャンスにもなる反面、逆に動いた時の対応が難しくなるからです。
では、どのように銘柄を選択していく必要があるのでしょうか。
ペアトレードの場合、連動性の高い同じ価格帯の銘柄を選ぶことが多いと考えられますが、その場合の一般的な組合わせとして考えられるのが、低位株と低位株、値がさ株と値がさ株になるのではないかと思われますので、この二つの組み合わせの場合を例に考えてみたいと思います。ところでこの二つの組み合わせのうち、みなさんならどちらを選ぶでしょうか。
このとき、注意が必要なのが、数量をどれだけ変えるか、また、実際に売買を何度も行うことができるかどうかといったいわゆる執行能力だと思います。
なぜなら、信用取引の制度が変更になり、取引回数が増えたとしても、機械のように素早く注文を流すことができませんから、自分が行える取引回数を想定し、その範囲内で注文を出していくことになると考えられるからです。
以上のことを踏まえ、みなさんは低位株の組合わせと、値がさ株の組合わせのどちらを選択するでしょうか?
仮に低位株の組合わせを選んだ場合ですが、少ない数量を買った場合、利益額を増やすために取引回数を増やす必要が出てくると思われます。そうなりますと、利益額を増やすためにペアトレードで一日に何回も取引を行う必要が出てきますが、例えば2銘柄を同時に購入したあと、すぐに返済の注文を流すことが必要になりますので、それだけ価格設定に関する分析と注文の執行に注意を払わなければならなくなりそうです。
一方値がさ株の場合ですが、そもそも値段が高い銘柄は1ティック動くたびに、10円や100円といった値動きになることが考えられますので、投資金額が比較的大きな投資家にとっては、売買回数もそれほど増やすことなく、利益を上げることが可能になるのではないかと思われます。
こうした想定のもとに銘柄選びを考えますと、少ない利益でもよいから安定的に利益を積み上げていきたい投資家は、低位株の組み合わせを選び、投資資金が比較的豊富で、回数もそれほど増やさずに利益を積み上げたい投資家の場合は、値がさ株の組み合わせを選択するということになるのではないでしょうか。
一方で、日中パソコンの前で取引できる投資家で、注文を流すことについて問題がない人は、一回当たりの利益額は小さいと考えられるものの、低位株の組み合わせを選んで売買回数を増やしながら利益額を積み上げていくことが可能になるでしょうし、また、資金が豊富で売買回数を増やしても問題ない人は、もちろん値がさ株のペアトレードを選択し、売買回数を増やすことでさらに利益を積み上げていくことができるようになるのではないかと思われます。
ただ一方で、最初にお話ししたように逆に動いた時の対処も必要になってきます。特に値がさ株の場合、1ティックで動く値幅が大きい分、逆に動いた場合の損失も大きくなるわけですから要注意と言えるでしょう。
以上のようにペアトレード用の銘柄を選ぶ際は、自分の投資額と注文の執行能力などとマッチするかどうかなどにも注意を払い銘柄を選ぶようにしたいところです。
さて、年内は今回が最後になってしまいましたが、今年の投資成績はいかがだったでしょうか。来年は新しい制度がスタートしてどのような値動きになるのか注目されますが、新制度スタート後の取引の状況を検証しながら、再びみなさんと考えていきたいと思います。それではみなさま、良いお年をおむかえください。
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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