マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
株式会社インベストラストの福永です。明けましておめでとうございます。今年もみなさまの投資成功のお役に立てるよう頑張りますので、引き続きよろしくお願いいたします。
さて、いよいよ今週から2013年の相場が本格的にスタートしましたが、これまでお話ししてきた信用取引の制度変更による変化が表れているでしょうか?
今回から制度変更の影響を検証していきたいと思います。
まず見ておきたいのが新制度になってからの第1日目となる大発会の様子からです。大発会は、みなさんご存知のように、その年の初めの取引のことを言います。年末の大納会とは異なり、多くの取引所関係者が出席し、晴れ着姿の女性も見られるなど、その華やかさからも注目される一日となります。
その大発会ですが、昨年と今年ではどのような変化があったのか、比較してみたいと思います。まず、昨年の大発会ですが、売買高が14億43百万株、売買代金が8,534億円でした。そして今年の1月4日の売買高は34億9百万株、売買代金は1兆9,516億円となっており、昨年の大発会に比べ、今年の方が圧倒的に商いが膨らんでいるのがわかります。
円安や新政権への期待から相場が活況になったということも考えられますので、昨年と今年の大発会の一株当たりの売買代金(=売買単価)を確認してみたいと思います。そうすると、昨年の大発会の売買単価は591円40銭、今年は572円48銭となり、なんと今年の大発会の方が売買代金や売買高が多いにもかかわらず、一株当たりの売買単価は昨年より下がっているではありませんか。
この結果をご覧になってお気づきになった方もいらっしゃると思いますが、売買単価低下の要因は、信用取引の制度が変更されたことによる回転売買の増加にあると思われます。売買高や売買代金は大幅に増加しても、低位株ばかりが売買されているために売買単価が上昇していないのです。
ではここで質問です。この昨年に比べての売買高や売買代金の大幅な増加は、日経平均株価の構成銘柄から考えて、株価の押し上げにつながるのでしょうか?それとも、影響は限定的なのでしょうか?
私は、影響は限定的ではないかと考えています。なぜなら、一株当たりの売買単価が上昇しなければ、日経平均株価に対する寄与度の高い値がさ株が上昇していかないと思われるからです。
この結果が、これまで私がこの連載で指摘してきた低位株物色ということになるのではないでしょうか。
したがってこのコラムをずっとお読みいただいている方は、商いが増加したとしても、まだ日経平均株価を押し上げるようなところまで至っていないということがおわかりになると思いますし、売買単価の水準が上がってくるまでは低位株物色が繰り返されるということもおのずとと理解できるのではないかと思われます。
2013年の株式市場は好調なスタートを切ったところではありますが、ここでご紹介したように、市場全体をしっかり見渡して、どのような価格帯や銘柄が物色されているのかを分析し、今年のパフォーマンス向上につなげていただきたいと思います。
次回も市場全体の動向に関する分析は続きます。
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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