第22回 ETFを使って資産の組み合わせを作る その1 【ETF解体新書】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第22回 ETFを使って資産の組み合わせを作る その1 【ETF解体新書】

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。筆者は2000年より資産運用の相談業務に携わっていますが、お客様が投資に対して抱いている最大の誤解は、「なにかひとつの金融商品を選ぶ必要がある」というもの・・・。声を大にして言いますが、「なにかひとつだけを選ぶ必要はありません。」何となく、複数の資産を組み合わせたほうがいいのだろうと、あなたも気付いているはずです。しかし、資産配分とかポートフォリオという言葉に出くわすと、億劫になってしまい、結局、現状の投資のやり方から抜け出せなくなってしまう・・・。

資産の組み合わせといっても、そんなに難しく考える必要はありません。要は「運用の見取り図」を作ることであり、それはETFを用いて3つの足し算をすれば済むのです。ズバリ、低リスク資産+中リスク資産+高リスク資産の組み合わせです。

低リスクは円建て債券、中リスクは外国債券、高リスク資産には株式、不動産、コモディティが当てはまります。順に見ていきましょう。まず低リスクの円建て債券ですが、これは残念ながら該当するETFがありません。筆者は日本国債ETFの組成が、投資家の選択肢拡大のために急務であると考えます。日本国債ETFは、個人投資家、機関投資家双方の潜在ニーズが高く、また、今後の国債消化の一助にもなります。

実際、米国の国債ETFのレパートリーを見ると、その選択肢の多さに目を見張ります。米国では、短期国債ETF、1~3年国債ETF、7~10年国債ETF、20年超国債ETF、物価連動国債ETFなどの品揃えがあります。さて、現実的には、この低リスク部分はMRFを当てはめるのがよいでしょう。MRFとは、証券口座にお金を入金するだけで自動的に買い付けられる日本債券ファンドのことです(その中身は短期国債を中心に運用されます)。

運用の見取り図の中に、どうして低リスク資産が必要かというと、資産全体のリスクを抑えるためです。たとえば、MRF(低リスク資産)40%、中リスク資産10%、高リスク資産50%の組み合わせがあるとします。仮に最悪の1年に遭遇した際、中リスク+高リスク部分で40%の下落が発生しても、MRFを40%保有するため、資産全体で見ると24%程度の下落で済みます。いわば低リスク資産は「防波堤」の役割を担うわけです(※ 中リスク+高リスク部分で40%程度の下落は、実際に2008年の1年間で発生しています)。

続いて、中リスク資産ですが、国内ETFではシティグループ世界国債指数(除く日本)との連動を目指す、上場インデックスファンド海外債券毎月分配型(1677)が選択可能です。また、新興国債券ETFでは、上場インデックスファンド新興国債券(1566)があります。あるいはアジア国債・公債ETFである、ABF汎アジア債券インデックス・ファンド(1349)を選択してもよいでしょう。

海外ETFを選択する場合は、米国債券ETFであるバンガード・トータル・ボンド・マーケットETF(BND)と、iシェアーズ・S&Pシティグループ世界国債(除く米国)ファンド(IGOV)を組み合わせることになります。少し変則的ですが、IGOVの20%弱は日本国債となっており、上記2本の組み合わせで低リスク資産+中リスク資産となります。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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