第19回 コンフォリア・レジデンシャル投資法人の投資ポイント 【J-REIT投資の考え方】

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第19回 コンフォリア・レジデンシャル投資法人の投資ポイント 【J-REIT投資の考え方】

J-REIT価格の上昇基調は、依然として続いています。2012年12月末に1,114ポイントだった東証REIT指数は、2013年1月に1,200ポイント台を回復し2月に入ると1,250ポイントを超える水準を目指し上昇しています。

2010年以降のJ-REIT価格は、上昇基調が続くと海外市場の混乱によって低迷するということを繰り返してきました。しかし当面は海外市場での混乱要因は生じないと考えられます。海外市場の状況は今後も注意を払う必要がありますが、現状は
(1)アメリカの「財政の崖」問題は3月までの先送りが決定、
(2)スペインやイタリアなど南欧諸国の国債利回りが2月に入り上昇基調を強めていますが、その水準は2012年11月以下で留まっている、
という点から短期的にはJ-REITの下落要因にはならないでしょう。従ってJ-REIT価格は、利益確定売りをこなしながら短期的には上値を更新する動きが続く可能性が高いと考えられます。

さて今回は2月6日上場したコンフォリア・レジデンシャル投資法人(証券コード3282、以下CRRとする)の今後の投資ポイントについて記載して行きます。CRRは、東急不動産をスポンサーとする住居特化型の銘柄です。

上場時の公募及び売出価格550,000円に対して上場日2月6日の終値は622,000円と大幅に上昇しました。上場日の価格が大幅に上昇した要因は、他の住居系銘柄と比較して上場時の公募(売出)価格をベースにした利回りが高かったことによるものだと考えられます。図表1の通り他の住居系銘柄と比較すると、CRRの上場日の終値622,000円をベースにした利回り4.95%(※1)は、低い水準とはなっていません。従ってCRRの株価はまだ上昇の余地はありますが、今後は他の住居系銘柄の株価が続伸しない限り大幅な価格上昇は期待しにくいと考えられます。その最大の理由は、分配金増加余地が少ないことによるものです。

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CRRは、住居特化銘柄ですので保有物件の賃貸収益は安定性が高い一方で賃料単価引き上げによる収益増加余地は他用途の銘柄と比較すると少なくなっています。またCRRは金融機関から借入金金利が極めて低い水準となっています。このことは高く評価すべき点なのですが、他の住居系銘柄はリーマンショック後に借入れした比較的高い金利の借入金の借換えにより収益の増加余地があります。一方でCRRはこれ以上低い金利での借換えは難しいと考えられるため、この点でも収益の増加余地は少ないのです。さらに住居系銘柄は合併を行っている銘柄が多く、合併差益(負ののれん)が潤沢な銘柄も少なくありません。このような点から見て、他の住居系銘柄を下回るような利回り水準まで価格が上昇するとは考えにくいのです。

従って、今後さらに株価を上昇させるために必要な点は、現保有物件の利回りである5.85%(※2)を超える利回りの物件を取得し、分配金を増加させるということになります。CRRは、図表2の通り住居系銘柄の中でも物件利回りが比較的低い(不動産価格が高い)東京23区内の物件比率が高くなっています。CRRは投資方針として、東京23区を含む東京圏に80%以上を投資することとしていますが、その他中核都市にも20%までは投資が可能としています。つまり、地方中核都市で高い利回りの物件を取得できる可能性を残しています。またCRRは、住居資産としてシニア住宅や学生寮などの運営型賃貸住宅にも投資を行うとしています。これらの資産は一般の賃貸住宅と比較して高い利回りでの物件取得も可能です。

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CRRは、このように分配金を増加させる物件取得が可能な状態です。しかしまだ上場したばかりで今後の運営方針が明確と言える状況にはなっていません。従ってすでに利回り面から見て投資妙味が少なくなっていると考える投資家の場合は、今後の物件取得を確認してから投資することも必要だと考えられます。

※1:「平成25年7月期及び平成26年1月期の運用状況予想について(平成25年2月6日付)」による当期予想分配金(平成25年7月期、15,440円)及び翌期予想分配金(平成26年1月期、15,380円)合計額を2月26日終値622,000円で除して算出。
※2:上場時目論見書のOverviewのP4記載数値。鑑定評価で採用されたNOIを物件取得価格で除した数値であり実績値とは異なる。


コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介

<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>

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