マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。
2月27日、東京証券取引所にふたつの中国A株ETFが上場しました。ChinaAMC CSI 300 Index ETF(略称:中国A300)(1575)と、南方 FTSE 中国A株50 ETF(略称:南方A50)(1576)です。中国株式とは、狭義には大陸市場(上海、深セン)に上場する株を指しますが、私たち個人投資家は大陸のA株に直接投資を行うことが出来ません。なぜなら大陸市場には資本規制があり、また、人民元という通貨も未だ自由化されていないためです。
しかし、私たちは大陸市場にアクセスを持つ機関投資家を通じて、A株に投資を行うことが可能です(そのひとつがRQFⅡ制度を利用したETFによる投資です)。今回上場した両ETFは単元口数がともに10口単位で、数千円から売買が可能です(1575、1576ともシンセティック型ではなく、現物のA株に投資を行うタイプのETFです)。まず1575ですが、当該ETFの運用会社はチャイナ・アセット・マネジメント(香港)・リミテッドです。1575が連動を目指す「CSI300指数」は、上海、深セン両証券取引所に上場するA株300銘柄で構成されています。当ETFの信託報酬は0.99%です。チャイナ・アセット・マネジメント(香港)・リミテッドは昨年、RQFⅡ(人民元適格外国機関投資家)制度に基づいたA株ETFを、香港にはじめて上場させました。そのETFこそ実は、1575の基となっているETFなのです。実は今回、日本市場に上場を果たした1575、1576はともに重複上場であり、JDRの形式を取っています。
JDRとは、アメリカのADRやヨーロッパのGDRと同じ仕組みであり、外国の有価証券(この場合、香港にすでに上場しているふたつのETF)を、国内の有価証券として流通させる仕組みのことです。続いて1576を解説しましょう。当該ETFの運用会社は中国南方アセット・マネジメント・リミテッド(CSOP)です。この会社もRQFII資格を有しています。1576の原ETFも昨年、香港市場に上場され、日々の出来高が4000万口を超える人気ETFとなっています(ちなみに日本でも今のところ、1576のほうが1575より出来高が多いようです)。1576が連動を目指す「FTSE 中国A50 インデックス」は、上海、深セン両証券取引所に上場する代表的なA株50銘柄で構成されます。同指数は金融関連がおよそ6割を占めるのが特徴です。業種ごとの広範な分散を目指すのなら1575のほうがベターかもしれません。
また、1576の信託報酬は1.15%となっています。長期的な展望となりますが、現在の中国株式市場は過渡期の姿に過ぎません。2047年には香港の一国二制度が終了します。香港ドルはなくなり、通貨は人民元に一本化され、香港市場と大陸の市場(上海、深セン)も統合されている可能性があります。その頃にはH株、レッドチップ株という呼称もなくなり、シンプルな中国株式が実現していると思われます。今、中国A株に投資を行うことは、入場規制がある成長の沃野に足を踏み入れることに他なりません。最後に、今回の両ETFのように、海外に上場するETFの、JDR形式での国内上場が増えることに期待したいですね。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表 http://www.sinyo-fp.com/
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
マネックスからのご留意事項
「特集1」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。