第25回 2月27日に上場した、ふたつの中国A株ETFについて 【ETF解体新書】

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第25回 2月27日に上場した、ふたつの中国A株ETFについて 【ETF解体新書】

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。

2月27日、東京証券取引所にふたつの中国A株ETFが上場しました。ChinaAMC CSI 300 Index ETF(略称:中国A300)(1575)と、南方 FTSE 中国A株50 ETF(略称:南方A50)(1576)です。中国株式とは、狭義には大陸市場(上海、深セン)に上場する株を指しますが、私たち個人投資家は大陸のA株に直接投資を行うことが出来ません。なぜなら大陸市場には資本規制があり、また、人民元という通貨も未だ自由化されていないためです。

しかし、私たちは大陸市場にアクセスを持つ機関投資家を通じて、A株に投資を行うことが可能です(そのひとつがRQFⅡ制度を利用したETFによる投資です)。今回上場した両ETFは単元口数がともに10口単位で、数千円から売買が可能です(1575、1576ともシンセティック型ではなく、現物のA株に投資を行うタイプのETFです)。まず1575ですが、当該ETFの運用会社はチャイナ・アセット・マネジメント(香港)・リミテッドです。1575が連動を目指す「CSI300指数」は、上海、深セン両証券取引所に上場するA株300銘柄で構成されています。当ETFの信託報酬は0.99%です。チャイナ・アセット・マネジメント(香港)・リミテッドは昨年、RQFⅡ(人民元適格外国機関投資家)制度に基づいたA株ETFを、香港にはじめて上場させました。そのETFこそ実は、1575の基となっているETFなのです。実は今回、日本市場に上場を果たした1575、1576はともに重複上場であり、JDRの形式を取っています。

JDRとは、アメリカのADRやヨーロッパのGDRと同じ仕組みであり、外国の有価証券(この場合、香港にすでに上場しているふたつのETF)を、国内の有価証券として流通させる仕組みのことです。続いて1576を解説しましょう。当該ETFの運用会社は中国南方アセット・マネジメント・リミテッド(CSOP)です。この会社もRQFII資格を有しています。1576の原ETFも昨年、香港市場に上場され、日々の出来高が4000万口を超える人気ETFとなっています(ちなみに日本でも今のところ、1576のほうが1575より出来高が多いようです)。1576が連動を目指す「FTSE 中国A50 インデックス」は、上海、深セン両証券取引所に上場する代表的なA株50銘柄で構成されます。同指数は金融関連がおよそ6割を占めるのが特徴です。業種ごとの広範な分散を目指すのなら1575のほうがベターかもしれません。

また、1576の信託報酬は1.15%となっています。長期的な展望となりますが、現在の中国株式市場は過渡期の姿に過ぎません。2047年には香港の一国二制度が終了します。香港ドルはなくなり、通貨は人民元に一本化され、香港市場と大陸の市場(上海、深セン)も統合されている可能性があります。その頃にはH株、レッドチップ株という呼称もなくなり、シンプルな中国株式が実現していると思われます。今、中国A株に投資を行うことは、入場規制がある成長の沃野に足を踏み入れることに他なりません。最後に、今回の両ETFのように、海外に上場するETFの、JDR形式での国内上場が増えることに期待したいですね。


コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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