第26回 「ETFのデメリットについて」 【ETF解体新書】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第26回 「ETFのデメリットについて」 【ETF解体新書】

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。

ETFは画期的な金融ツールですが、もちろんデメリットもあります。大きく分けると4つ挙げられます。

1.ETFは分配金を自動的に再投資できない。ETFの分配金はそのしくみ上、個別株の配当金と同じように必ず払い出されてしまいます(証券口座や貴方が指定する金融機関の口座に入ってきます)。これでは複利の効果が限られてしまいますね。仮に、受け取った分配金をETFに再投資しようとすれば、自ら売買手数料を払って分配金そのものでETFを買い付ける必要があります。

2.価格の乖離が起こる可能性がある。ETFは市場に上場する銘柄であるため、しばしばETFの「理論価格」(基準価額)と、マーケットでの「市場価格」の間に乖離が生じます。つまり、ETFを正味価値(理論価格)より割高に買ってしまうリスク、あるいは割安に売ってしまうリスクが存在するのです。このリスクを小さくするためには、国内ETF、海外ETFを問わず、市場価格と理論価格の「乖離率」をチェックしておく必要があります。国内ETFでは、以下のサイトに前営業日の各ETFの乖離率が公表されるので参照されることをお勧めします。

東京証券取引所「ETFの基準価額と終値の乖離率について」
http://www.tse.or.jp/rules/etf/etfinfo/b7gje6000002d896-att/etf_kairi.PDF
大阪証券取引所「上場投資信託受益証券(ETF)におけるかい離率」
http://www.ose.or.jp/market/trading_data/etf

また、海外ETFの場合、米国ヤフー・ファイナンスにアクセスして、銘柄コード(ティッカー)を入力し「市場価格」を確認します。そのあと、「銘柄コード+.iv」の入力で、理論価格を確認することが可能です(ただし、米国上場のETFのみ)。
米国ヤフー・ファイナンス
http://finance.yahoo.com/

続いて3つ目のデメリットです。
3.金額指定の売買ができない。ETFの取引はあくまで口数単位で行われます。「1万円だけETFを買う」「10万円分だけETFを売る」ということは原則できません。したがって、毎月定額で買い付けていく「積立投資」には向いていないのです(ただし、国内ETFでは「るいとう(株式累積投資)」を扱う証券会社を利用すれば、一部のETFで定額積立が可能)。

4.繰り上げ償還のリスクがある。投資家の意向に反し、ETFの運用が中途で終わってしまうリスクを「上場廃止リスク」といいます。この場合の上場廃止とは、ETFの運用を繰り上げて終了させるという意味です(一般の投資信託における「繰り上げ償還」と同じ意味です。また、個別株式の「上場廃止」とは意味合いが異なるので注意しましょう)。取引高が伸び悩み、純資産額が目減りする中で、運用会社がETFの運用を続けるメリットがないと判断すると、上場廃止(繰り上げ償還)を決定する場合があります。ETFの上場廃止が決まると、一定の猶予期間のあと、ETF保有者には現金の形で資産が還されます(決して資産がゼロに帰すわけではありません)。もちろん、上場廃止前に市場で任意にETFを売却することも可能です。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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