第27回「ふたつの日本株高配当ETF」 【ETF解体新書】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第27回「ふたつの日本株高配当ETF」 【ETF解体新書】

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。

先日、弊所が実施するコンサルティングの中で、お客様がこう言われました。「カンさん。配当がよい株を探すのは楽しいですよ。でも、株価が高くなってしまうと、配当利回りが下がるじゃないですか。そうするとまた、高配当の株を探してくるわけです・・。」
なるほど。行動の主旨はよく分かります。しかし、ご自身で高配当の株を探す代わりに、ETFにその役目を担わせてはいかがでしょうか。企業の配当金の多さに注目して指数を組成し、その指数との連動を目指すETFが「高配当株ETF」です。

2010年5月に日興アセットマネジメントが「上場インデックスファンド日本高配当ETF」(1698)を上場させました。当該ETFは日々の出来高が概ね1万口以上ある人気ETFです。当ETFは東証配当フォーカス100指数との連動を目指します。東証配当フォーカス100指数は、時価総額および予想配当利回りに着目して選定された100の銘柄から成り立っています。この指数の特徴は、株式だけでなく10本のREIT(不動産投資信託)も構成銘柄に含んでいる点でしょう(たしかにREITも配当が多い銘柄に違いありません)。当ETFは1月、4月、7月、10月の年4回、分配金を出します。売買単位は10口で、継続コストである信託報酬は年0.294%となっています。

一方、今年の3月7日に、野村日本株高配当70連動型ETF(1577)の運用が始まりました。運用会社は野村アセットマネジメントです。当該ETFの指数は野村證券金融工学研究センター/金融市場調査部が算出し提供しています。当該指数の特徴として、
・今期予想配当利回りが高い日本株 70 銘柄に集中投資する
・等金額型の指数とする
・過去 3 年間に経常利益がマイナスになったことのある銘柄は組入対象から除外する
などが挙げられます。1577の分配金は1698と同じく年4回となっています。信託報酬は年0.336%で、売買単位は1口単位です。双方のETFとも1万円台で購入が可能になっています。

また、それぞれの銘柄管理基準に従い、定期的に組入れ銘柄を入れ替えます(1577は原則年1回、1698は年2回です)。数多ある企業の予想配当利回りをチェックし、定期的に銘柄を組み替えていく作業を、ETFという運用体にアウトソースすると捉えてみましょう(そのコストが信託報酬なのです・・)。筆者は4月2日時点の1698の構成銘柄と、3月29日時点の1577の構成銘柄を比較してみました。すると、両ETFに共通して組入れられている企業が41社あることが分かりました。業種としては医薬品(武田薬品工業など)、精密機器(HOYAなど)、商社(三井物産など)、自動車(日産自動車など)、通信(NTTなど)が挙げられます。

最後に、米国では配当金だけでなく、その企業の売上高、利益などにも着目して指数を組成し、その指数との連動を目指すETFが多数存在しています。いわゆる「ファンダメンタル・インデックス」と呼ばれる新たな指数が台頭しているのです・・。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

マネックスからのご留意事項

「特集1」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧