マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
みなさんこんにちは。株式会社インベストラストの福永博之です。今回も先物の利用法についてお話ししたいと思います。前回は株価上昇時に先物を買い、予想通り上昇してくれれば、少ない投資資金で大きなリターンが得られるというお話でしたが、今回は、リスクヘッジについてお話ししたいと思います。
今回なぜリスクヘッジの話なのかと言いますと、この原稿を書く前日にNYダウが265ドル以上下落したことや、これまで東京マーケットの株価上昇の支えになっていた円安が一服したことなどから利益確定売りが膨らみ、4月16日の朝方一時13,004円まで下落する場面があるなど、一気に下降トレンドに傾きそうな気配になりつつあるからです。
こうした時、現物株を保有しているみなさんはどのような投資行動をとるでしょうか?
利益が出ているのであれば、一旦売却して様子をみることも考えられるでしょうし、仮に損失が出ていても、今後値下がりが続きそうだと考えた場合、ロスカットすることが有効なことはいうまでもありません。
ただ、複数銘柄を保有している場合や株価は戻ってくると考えているものの不安だというようなケースではなかなか踏ん切りがつかないものです。
こうした時に有効と考えられるのが先物によるリスクヘッジです。たとえば、トヨタや三井住友FGなど価格の高い銘柄を1,000株ずつ保有していた場合はどうでしょう。長期投資で保有するつもりでも、大きく値下がりした時は心中穏やかではいられません。
そこで、この2銘柄分の価格変動リスクを先物でヘッジするのです。特に、海外市場で株安や円高が起こると翌日の東京マーケットは必ずといっていいほど、値下がりして始まります。そこで慌てないために、昼間仕事でマーケットをじっくり見られない投資家でも利用可能な先物の夜間取引(ナイトセッション)を活用します。
たとえば、4月15日の夜間取引では、NYダウが下落していたことや円高に振れていたことなどから、先物価格も値下がりする展開になっていました。
そうしたなかで、あすの東京マーケットは下落しそうだなと感じたら先物を売り建てしておくわけです。その際、保有株の値下がりリスクをヘッジすることが目的ですので、保有株の時価総額に相当する先物を売ります。保有株の15日の終値はそれぞれトヨタが5,540円、三井住友FGが4,510円ですから、それぞれの時価を合計すると、5,540円×1,000株+4,510円×1,000株=1,005万円なります。そこで、この金額になるように先物を売るのです。この時、ラージですと13,300円×1,000倍=1,330万円になってオーバーしてしまいますので、ラージの10分の1のミニを選択します。
計算の仕方はこうです。1,005万円÷(13,300×100)=7.55となりますが、小数点以下は切り捨てて7枚のミニ先物を売り建てします。
そして翌営業日ですが、予想通り大幅下落となりました。また、トヨタは80円安、三井住友FGは105円安になるなど、大きな値下がりとなっています。一方13,300円で売り建てたミニ先物ですが、13,140円になっています。ここで損失がどうなったか計算してみましょう。
トヨタと三井住友FGの損失の合計は185,000円になりますが、ミニ先物の売り建てで得た利益は、(13,300-13,140)×100×7=112,000円となり、この二つを合計すると、▲185,000円+112,000円=▲73,000円になりました。
以上のようなことから、損失を73,000円に抑えることができたということになります。また、ミニ先物を売る時の証拠金ですが、1枚あたり6万円(2013年4月16日現在)ですので、7枚分の金額にすると 42万円以上の証拠金が必要になります。大きな金額と思われるかもしれませんが、損失を回避できるのであれば、それほど高い金額とは言えないのではないでしょうか。
また仮に、トヨタと三井住友FGを200株ずつ持っていた場合は、6万円以上の証拠金があればリスクヘッジができることになりますので少ない金額でリスクヘッジが可能と言えるのではないでしょうか。
仮に今後損失が出るような下落に遭遇したとしてもあきらめることなく、リスクヘッジで乗り切れるよう、こうした先物を使ったヘッジ手法を身につけておく必要があるのではないかと思われます。
コラム執筆:福永 博之 株式会社インベストラスト代表取締役
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