マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
J-REITの価格は、急激な上昇相場から安定的な値動きに転じています。日銀による金融緩和が公表された4月4日以降、東証REIT指数は1,700ポイントを目指す動きになりましたが、その後は利益確定売りに押される展開となり4月17日の終値は1,555ポイントとなっています。東証REIT指数が3月27日に1,700ポイントを超えたことと比較すると、下落基調に転じたように見えます。しかし1,500ポイント超えを果たした日は3月15日であったことを併せて見ると、現在の価格動向は3月中旬以降の急激な上昇に伴う必要な調整期間と言えるでしょう。
J-REITの価格は、当面やや弱含みながら堅調に推移するものと考えられます。弱含みとなる要素として、外国人投資家の投資が期待できない状況が続くことが想定されるためです。外国人投資家は、年初から3か月連続でJ-REITを売り越ししています。J-REIT価格が大幅に上昇した3月も結果として売り越しとなったのです。外国人投資家の投資姿勢は、2010年以降「政策に売り無し」という面が強く、日銀が金融緩和を行うと大幅に買越しを行っていました。しかし、日銀の金融緩和実施が確実視されていた3月にも外国人投資家が売り越しに転じたことや4月4日の金融緩和公表後もJ-REIT価格は大幅な上昇とはなりませんでした。このような点から外国人投資家の関心は、円安による業績回復期待が大きい株式市場に転じている可能性が高いと考えられるのです。一方で日銀は、新年度に入り17日まで81億円のJ-REIT買入れを実施しています。J-REITの買入れ枠は4月4日の金融緩和で年間300億円程度としていますので、やや早いピッチで買入れを実施していることになります。このような日銀の買入れは今後も期待できると考えられるため、J-REIT価格は海外市場が大幅に混乱しない限り堅調に推移することになりそうです。
従って今後の価格動向は、銘柄の業績に反応したものになり銘柄間で異なる動きを示すものになると考えられます。賃貸収益を分配金の原資とするJ-REITは、短期的には大幅な業績の上方修正は難しい業態です。しかし物件売却益や増資により、J-REITにおいても業績が短期的に大幅な上昇を示すことがあります。
特に増資の場合は、改善した業績が長期的に続く可能性が高くなります。物件売却益による業績改善が当該決算期だけであるのと比較すると増資による業績改善効果は大きいのです。J-REIT各銘柄は、年初以降大幅な価格上昇を示し、増資を行った場合に増資価格が1口あたり出資額を上回るいわゆる「プレミアム増資」となる状況です。プレミアム増資の場合は、増資前と比較すると調達金額に対する投資口(株式に相当)の発行口数の割合が少なくて済むことになりますので1口あたり分配金の上昇要素になります。図表はJ-REITの中でもPBR(※)が高い銘柄を掲載しています。これらの銘柄は、増資を行うことで分配金の増加余地がお大きい銘柄と考えられます。
※PBRは株価÷1口あたり出資額で算出している。J-REITは原則として利益を内部留保しない仕組みであり、合併差益などの内部留保している利益も分配準備積立金としているため一般企業のPBR算出で行われる株価÷1株あたり純資産という算出式としていない。
コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介
<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>
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