第30回 商品ETFという選択肢 【ETF解体新書】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第30回 商品ETFという選択肢 【ETF解体新書】

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。

株、債券、投資信託など「有価証券」への投資に慣れている人にとって、商品(コモディティ)に対する投資はどこか縁遠いものがあります。コモディティとは、金・貴金属、穀物、畜産物、エネルギー資源などの実物資産を指し、主に商品先物取引所で取引されます(一部の金・貴金属については現物で保有することも可能)。商品先物としてコモディティを保有するためには、商品先物専用の口座を開き、証拠金を積み、決済期限を気にしながら取引を行う必要があります。

この流れを変えるきっかけとなったのが、2004年11月に米国市場に上場した、スパイダー・ゴールドシェア(GLD)です。金価格との連動を目指す同ETFが株式市場に上場することで、証券として金(ゴールド)を保有することが可能になりました。これは不動産がREITとなって、株式市場で売買できるようになったのと同じくらいのインパクトを有します。スパイダー・ゴールドシェアの上場と、金相場の上昇時期が重なったこともまさに奇遇といえるでしょう。米国上場ETFの中で純資産残高約458億ドル(第3位)を誇る同ETFは、実は東京証券取引所にも重複上場しています(コード番号1326)。同ETFの売買単位は1口、現在は1万円台で取引が可能です。

また、2010年に同じく金価格との連動を目指す純金上場信託(1540)が国内市場に上場しました。この純金上場信託をはじめ、純プラチナ上場信託(1541)、純銀上場信託(1542)、純パラジウム上場信託(1543)は「金の果実シリーズ」と呼ばれ、三菱商事(株)が信託委託者として貴金属の現物を拠出し、三菱UFJ信託銀行がその受益権を株式市場に上場しています(いずれも売買単位は1口で、概ね5,000円から2万円程度で購入可能)。また、金とプラチナについては1kg以上保有することで、一部証券会社に現物への転換(交換)の申込みをすることが可能です(別途手数料が必要・・)。

続いて、原油ETFです。NOMURA 原油インデックス連動型上場投信(1699)は、NOMURA原油ロングインデックスとの連動を目指します。また、WTI原油価格連動型上場投信(1671)は、WTI原油先物の直近限月の清算値(円換算)に連動することを目指します(原油価格に連動する金融ツールが株式市場に存在するのですね)。そのほか、ETFS 天然ガス上場投資信託(1689)、ETFS 小麦上場投資信託(1695)、ETFS とうもろこし上場投資信託(1696)などの各種商品ETFも国内市場に上場しています。

さまざまなコモディティの中からひとつの銘柄を選ぶのもよいですが、視点を変えて、「商品市場全体」に投資を行うことも可能です。たとえば、イージーETF S&P GSCI商品指数 キャップド・コモディティ 35/20 クラスA米ドル建受益証券(1327)というETFがあります。当該ETFはS&P GSCI商品指数 キャップド・コモディティ 35/20トータル・リターン指数との連動を目指します。同指数は、原油、天然ガス、金・貴金属、農産物、畜産物など24種類のコモディティを対象とする商品総合指数です。売買単位は1口で、このETF1本で商品市場全体を広く浅く捉えることができます。もはやコモディティは株式市場の中で普通に売買できるツールとなっているのです。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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