第15回 移動平均線の具体的な取引への活用法について①(下落時の売り) 【福永博之の今さら聞けないテクニカル分析講座】

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第15回 移動平均線の具体的な取引への活用法について①(下落時の売り) 【福永博之の今さら聞けないテクニカル分析講座】

みなさんこんにちは。株式会社インベストラストの福永博之です。今回もグランビルの法則についてお話しします。前回まではグランビルの法則における「買い」についての話でしたが、今回からは「売り」についてお話ししたいと思います。

これまでグランビルの法則の「買い」で見てきたように、投資のタイミングはとても重要なものです。一方その「買い」と同様に「売り」のタイミングも投資ではとても重要です。なぜなら、売却して換金しなければ、いくら含み益があったとしても、いわゆる「絵に描いた餅」で食べることができないものになってしまうからです。

みなさんの中には、たくさんの含み益があったにもかかわらず、売り時を逃してしまったために結局塩漬けになってしまったとか、あるいは自分は長期投資だから、売り時で悩んだことは一度もない、と思っている方がいらっしゃるかもしれませんね。

でも、それはひょっとすると売りのタイミングの図り方を意識していないために、本当はもっと高値で売れたのに気付いていないだけかもしれません。
そこで、売りが苦手という人も、売りで悩んだことがないという人も、このグランビルの法則の「売り」シグナルについて一緒に考えてみたいと思います。

それでは売りシグナルの一つ目を思い出してみましょう。
「移動平均線が長期上昇の後で横ばい、もしくは下降を開始した状態で、株価が移動平均線を下回った場合」(下落時の売り)です。
このシグナルは、まさにこれから下落が始まる時点での売りシグナルというふうに私は理解しています。したがって、このタイミングで売ることができれば、損失拡大を防げるばかりか、塩漬け株になるのを未然に防ぐことができると思うのです。
ただ実際には「移動平均線が長期上昇の後で横ばい、もしくは下降を開始した状態」というのは、もっとも判断が難しい局面で、心理的には、株価が戻るのではないかと考えてしまうところでもありますし、もし、投資資金が手元にあってその株を持っていなければ、逆に買ってしまうところかもしれません。

しかし、グランビルはそこで敢えて売ることを推奨しているわけです。では実際の株価動向を見てみましょう。グランビルの法則が考えられた時代と現代とでは時代背景や取引のスピードの速さの違いなどがありますが、実際にこうした値動きになっているのでしょうか。
それでは以下のチャートをご覧ください。これは、200日移動平均線とローソク足だけを表示させたものです。


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「移動平均線が横ばい、もしくは下降を開始した状態で、株価が移動平均線を下回った」ところは、○を付けた3ヵ所あります。左から順に見ていきましょう。1つ目の○は200日移動平均線が横ばいのところを株価が一気に200日移動平均線を下回ったあと、200日移動平均線の下でしばらくの間推移しました。
続いて2つ目の○ですが、200日移動平均線は下向きで推移しているなかで200日移動平均線を下回る場面がありましたが、そのまま下放れることなく反発に転じました。
続いて3つ目の○ですが、このケースでは、グランビルの法則の定義通り、横ばいの200日移動平均線を下抜いたところで売れば、その後の下落基調の強まりからの損失拡大を避けられたことになります。
ただ、ここに示した3つの売りシグナルを比較してみると、下落がきつくなるパターンもあれば、横ばいのものもありますし、判断しづらいところです。

そうしたなかで確認しておきたいのが、200日移動平均線を割り込む前の株価動向です。
グランビルの定義にも、「移動平均線が長期上昇の後で横ばい、もしくは下降を開始した状態で、株価が移動平均線を下回った場合」と、「長期上昇の後で」とされています。
このチャートでは、3つ目の○の部分は、株価が高いところから一本調子に下落してきたところになります。また、1つ目の○の部分は、こちらも株価が下落直前まで高い位置を維持していました。

一方2つ目の○の部分では、横ばいないしは下向きの200日移動平均線を割り込む直前の株価とあまり大きな差がなく、売りが出にくい環境だったと言えるかもしれません。
このように200日移動平均線を割り込む手前の状況を把握して売買判断に役立てることができれば、より的確な判断が下せるようになるのではないかと思われます。

コラム執筆:福永 博之 株式会社インベストラスト代表取締役

http://www.itrust.co.jp/recom/index.php

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