マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。
ちょうど1年前、ご縁があってアメリカの運用会社バンガード社の視察ツアーに参加しました。バンガード社では、顧客を4つにカテゴライズしており、それぞれ「Personal Investor」「Voyager Services」「Voyager Select Services」「Flagship Services」と呼ばれます。うち、「Voyager Select Services」と「Flagship Services」では、アドバイザーが顧客のために具体的にポートフォリオを組み、採用するファンド、ETFについて助言をしてくれるサービスがあります(いわゆる「ラップ口座サービス」です)。手数料(フィー)は預かり資産の総額に対して0.7%、0.35%、0.2%となっており、預かり資産が多いほどフィーのパーセンテージが低くなる仕組みです。ちなみに「Flagship Services」では、預かり資産が100万ドル以上の顧客が対象となっています。庶民感覚からすると、富裕層ほどコストがかかる複雑な金融商品を保有している印象がありますが、実は富裕層ほど低コストのETFを用いてポートフォリオを組んでいる実態があります。ETFの情報サイトETF TRENDSの記事「High Net Worth Investors Adopting ETFs」によりますと、米国では保有資産10万ドルから2500万ドルまでの投資家の、およそ28%がETFを保有しているとのこと。
http://www.etftrends.com/2013/07/high-net-worth-investors-adopting-etfs-study/
これが保有資産500万ドル~2500万ドルの「ウルトラ富裕層」になると、ETFを保有する投資家の割合は47%に上昇します。逆に「プチ富裕層」である資産10万ドル~100万ドルクラスの投資家では、ETFを保有しているのは15%にすぎません・・(※ 記事内で記されている資産額には自宅は含まれていません)。一例として、ETFと既存の投資信託を、継続コストである「信託報酬」で比較してみましょう。今、甲ファンドと乙ETFの信託報酬の差が年0.8%あるとします。たとえば資産額が100万円の場合、年0.8%の継続コストの違いは8000円に過ぎません。しかし、資産額が10億円になると、年0.8%のコストの差は800万円になります。つまり、運用資産額が多くなればなるほど、既存の投資信託に比べてより継続コストが低いETFの優位性が増すわけです。さらにETFであれば、国・地域といった投資対象の細分化、また、債券、不動産、コモディティ、あるいはヘッジ型商品といった資産の多様化が図りやすいメリットがあります。ETFは特定の指数や資産価格に連動することを目指すため、「自分がどれだけのリスクを負っているか」が分かりやすいのも利点でしょう・・。再び「High Net Worth Investors Adopting ETFs」の記事に戻りますが、調査対象の投資家のうち、47%がETFと投資信託、両方を保有したいと答えています。また30%は投資信託のみを、24%はETFのみを保有したいと回答しています。近年、アメリカでは投資信託の運用会社がETF運用に乗り出すケースが増えており、投資家全体で見ても、既存の投資信託からETFへのシフトは加速していく可能性が高いと思われます。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表 http://www.sinyo-fp.com/
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
マネックスからのご留意事項
「特集1」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。