第2回 モメンタムとは 【福永博之の今さら聞けない株価の勢い分析講座】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第2回 モメンタムとは 【福永博之の今さら聞けない株価の勢い分析講座】

みなさんこんにちは。株式会社インベストラストの福永博之です。前回から株価の勢いについてお話ししていますが、今回は勢いを計るために作られた「モメンタム」についてお話をしたいと思います。

「モメンタム」は、「勢い」と訳されますが、前回お話ししたように株価の勢いを、上昇幅や下落幅から割りだそうとしたものがモメンタムです。上昇幅や下落幅は数値化することができますから、比較が可能になります。人の感覚ではなくて客観的な数値に直すことで、勢いがあるかどうかを計ろうとしたわけです。

この客観的な数値になおして判断するということは実は非常に重要なことです。繰り返しになりますが、Aと言う銘柄のある日の上昇幅が30円だったとします。またAと言う銘柄の別の日の上昇幅が50円だった場合、どちらの日の株価に勢いがあるかと言えば、30円より50円の方が大きいわけですから、50円上昇した日の勢いの方が強いと言えます。

これは老若男女誰が見ても30円と50円の比較で50円の方が大きいというのは変わりません。また、国が変わっても言葉が違っても答えは同じです。テクニカル分析とは、このように数値化して、誰が見ても客観的な判断を下せるようにしようとしているものなのです。
ただ、時系列で日々の値上がり、値下りをもとに株価の勢いを計ってしまったらどうなるでしょう?

たとえば、1日目+30円、2日目+40円、3日目-50円、4日目+50円、5日目+20円と、こんなふうに日々の価格が変動した場合、どのように勢いを表せばよいのでしょうか?単純に前日比の値幅だけをもとに勢いを表そうとした場合、小さな値幅で行ったり来たりと言うふうになってしまい、本来知りたい勢いとそれが継続しているのかどうかを知ることができません。
そこで、どういう手法が用いられたのかと言いうと、以下のような計算式が考案されたのです。

モメンタム=P-Pn

Pは当日の価格(終値)を指します。また、Pnとはn日前の終値を指します。このように当日の終値とn日前の終値を比較することでモメンタムを計ろうとしたわけです。既にお気づきだと思いますが、前日の終値と当日の終値を比較した場合、前日と当日の勢いの差は図れるものの、上昇の勢いが続いているのかどうかが分かりません。
そこで、n日前の終値と比較することで、毎日の値上がりや値下りと言ったノイズをカットし、株価が上昇傾向なのか、下落傾向なのかといった流れをとらえようとしたのです。
たとえば、当日の終値が700円でn日前の終値が600円だった場合、700円-600円=100円、でモメンタムは100円と言うことになります。
さらにそのn日後、当日の終値が800円でn日前の終値が550円だった場合、モメンタム=800円-550円=250円となり、最初の100円のモメンタムに対して、次は250円のモメンタムとなり、株価の上昇の勢いは150円分も上昇しているというふうに考えられるわけです。

このように、当日の終値とn日前の終値を比較することによって、株価の勢いがあるのかどうかを判断しようとしたわけです。

さて、ここまでくると疑問がわいてくると思います。nは何日が良いのか? 5日なのか、25日なのか、75日なのか・・・。答えですが、モメンタムを計算する時に使われている日数は10日が一般的なようです。

では次回はモメンタムチャートを実際に見ながら見方についてお話ししたいと思います。


コラム執筆:福永 博之 株式会社インベストラスト代表取締役

http://www.itrust.co.jp/recom/index.php

マネックスからのご留意事項

「特集1」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧