第39回 意外な狙い目? 新興国小型株ETF 【ETF解体新書】

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第39回 意外な狙い目? 新興国小型株ETF 【ETF解体新書】

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。株式市場を時価総額の大きさで細分化すると、大型株・中型株・小型株の各指数が組成できます。世界的な指数提供会社MSCIでは、独自の基準でこの大型・中型・小型株式の振り分け方を規定しています。MSCIの方法論(メソドロジー)によると、浮動株調整後の市場の時価総額に対して、上位の約70%を『大型株』、次の約15%を『中型株』、もっとも時価総額が小さい約14%を『小型株』と定めています。

たとえば、新興国株式を代表する指数にMSCIエマージングマーケッツインデックスがありますが、これは『大型株』と『中型株』をカバーしています。もし、あなたが新興国の小型株にフォーカスしたいのなら、「i シェアーズ MSCI エマージング・マーケッツ小型株ETF」(EEMS)という選択肢があります。当該ETFはMSCIエマージングマーケッツ小型株指数との連動を目指します(2011年に米国市場に上場しました)。上記指数が組み入れる企業数はなんと1,792社に及びます(2013年8月末現在)。小型株の場合、大型株のように時価総額で突出した企業がないため、個々の会社の組入れ割合が小さく、結果として「銘柄分散」が徹底されることになります。たとえば、当該ETFの組み入れ第1位、南アフリカ共和国の「モンディ」という会社でさえ、組み入れ比率は0.54%に過ぎません(8月末現在)。

また、新興国小型株ETFで特徴的なのは業種の比率でしょう。一般に、新興国の「大型株」では金融、エネルギー資源の割合が高くなります(経済のインフラを担い、巨額の資本を必要とするため)。逆に「小型株」では一般消費財、小売、サービス関連、不動産などの内需関連の比率が高くなります。つまり、小型株式のほうが、新興国内の経済状況を如実に反映する傾向があるのです。次に、当該ETFの国別組み入れ割合を見てみましょう。

第1位は台湾で20.68%、次いで韓国が17.14%、そして中国13%、南アフリカ8.53%、ブラジル6.32%、マレーシア5.51%と続きます(2013年9月25日現在)。当該ETFは過去2年のみの成績のため、指数のデータを挙げますが、MSCIエマージングマーケッツ小型株指数の、直近10年間の年率リターンは約13%となっています。また指数の予想PERは10.39倍です。ただし、直近10年の標準偏差も25.78%となっており、リスクが大きいことには留意が必要です(いずれも2013年8月末現在。標準偏差はリスクの大きさとして用いられる指標であり、正確にはリターンのばらつきの大きさを示します)。一点気になるのは、当該ETFの直近3ヶ月の平均売買高が1日あたり5,300口程度ということ。また、純資産額もおよそ3,000万ドル(日本円で約30億円)であり、まだまだ発展途上のETFと云えます。

最後に、当該ETFを用いた推奨ポートフォリオです。円建てMMF(安全資産)40%、米国債券7%、先進国債券(米国除く)8%、日本株式5%、先進国株式20%、新興国株式15%、新興国小型株式5%という組み合わせです(円建てMMF以外はETFを想定しています)。遠くに存在する小さな投資対象こそ、ETFという器で捉えるのが最適なのです。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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