第40回 新興国債券ETFをチョイスする 【ETF解体新書】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第40回 新興国債券ETFをチョイスする 【ETF解体新書】

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。

意外に思われるかもしれませんが、世界の資産市場を俯瞰すると、株式マーケットより債券マーケットのほうがその規模が大きいのです(21世紀の資本主義社会においても、お金を借りる・貸すという古典的な「ファイナンス」は健在なのですね)。債券市場の代表格である国債マーケットを見ますと、新興国国債のプレゼンス(シェア)はまだ10数%程度です。皆さんは今後、先進国の国債市場と新興国の国債市場、どちらの流通量がより伸びると思われますか?

先進国では財政赤字が累積し、借金を積み重ねていく「余裕」がなくなりつつあります。一方、新興国はどうでしょうか?多くの新興国では財政状況が先進国と比べて健全であり、また、インフラ整備、産業振興など、資金需要が伸びるのはまさに「これから」です。債券市場に対する投資は、株式市場における先進国、新興国への投資と同じイメージで捉えるとよいでしょう。すなわち、先進国マーケットを主体としながらも、新興国市場にもポジションを持つ、というもの。

たとえば、「iシェアーズ J.P.モルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券 ETF」(EMB)を保有すれば、新興国の国債に広く浅く投資を行うことが可能です(当該ETFはJPモルガン EMBISM グローバルコア指数との連動を目指します)。当ETFは2007年に米国市場に上場し、新興国債券としては古参のETFです。年間経費率は0.60%。EMBはUSドル建ての新興国債券を組み入れ、通貨分散は為されていません(日本人投資家から見ると、USドル建て資産のみの保有となります)。同じくUSドル建て新興国債券ETFとして、「バンガード・エマージングマーケッツ・ガバメントボンドETF」(VWOB)が挙げられます。

次に、現地通貨建ての国債を集めた新興国債券ETFをご紹介しましょう。まず、スパイダー・バークレイズ 新興国債券(現地通貨建て)ETF(EBND)です。年間経費率は0.50%。当該ETFはバークレイズ・EMローカル・カレンシー・ガバメント・ダイバーシファイド指数との連動を目指します(2011年に米国市場に上場)。続いて、マーケット・ベクトル新興国債券(現地通貨建て)ETF(EMLC)です。こちらは2010年に米国市場に上場し、年間経費率は0.48%です。そして、iシェアーズ 現地通貨建てエマージング・マーケット債券 ETF(LEMB)です。当該ETFはバークレイズ エマージングマーケッツブロード自国通貨建て国債指数との連動を目指します(韓国の組み入れ割合が20%を超えているのが特徴)。EBND、EMLC、LEMB、それぞれの新興国債券ETF(現地通貨建て)を比較すると、直近3ヶ月の1日当たりの売買高は、50,402口、517,366口、43,697口となっています(圧倒的にEMLCの出来高が多いですね)。また、EMLCは純資産額でも約10億ドルともっとも大きくなっています。現地通貨建て新興国債券ETFなら、国・地域の分散のみならず、通貨分散も自動的に行ってくれます。満期を気にせず、幅広く多様な債券に投資ができるのが強みなのです。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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