マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
J-REITの価格は、米国QE3(量的金融緩和政策)の縮小に伴い12月下旬まで弱含む展開が続きました。その後、受け渡しが2014年になる12月26日から反転し30日には前日比50ポイント以上の上昇を示し、東証REIT指数は1,515.01ポイントとなりました。東証REIT指数が年末に1,500ポイントを超えて推移するのは2007年以来となる。
なお、ヒューリックリート投資法人(証券コード3295の予定)が2月7日に上場する予定であることが1月6日に公表されました。スポンサーは不動産事業を行うヒューリック(証券コード3003)の1社。東京23区のオフィスビル、東京近郊の商業施設を主要な投資対象とし、有料老人ホームやインフラ施設にも投資する銘柄となります。上場時のポートフォリオは、オフィスビル8棟(うち1件は底地)、商業施設4棟、有料老人ホーム4棟、インフラ施設(ネットワークセンター)5棟の計21棟、取得額は計1,014億円となっています。
さて今回は、2014年最初の連載となります。前回の連載では2014年のJ-REIT市場の展望について主として価格面での記載をしましたので、その続きとして2014年のJ-REIT市場注目の動向と2013年の価格動向の総括を記載していきます。
1.2014年の注目動向
2014年の注目動向として(1)ヘルスケア銘柄の上場、(2)スポンサー多様化の継続、が挙げられます。
ヘルスケア銘柄とは、主としてシニア向け住宅(以下、シニア住宅)や介護施設、病院など(これらをヘルスケア資産といいます)を主要な投資対象とする銘柄です。上述のヒューリックリート投資法人が取得予定としている有料老人ホームもシニア住宅に区分されます。J-REITではすでに住居系銘柄を中心としてシニア住宅を取得していますが、ポートフォリオ(保有資産)に占める割合は低くなっています。現時点では、今後高まるであろう需要に対して先行事例的に取得しているという状況です。
しかし、ヘルスケア銘柄は、米国のREIT市場では時価総額で15%程度を占める主要なセクターになっています。米国のヘルスケア銘柄を市場での存在感を急速に増したことを考えると、「先買い」としてJ-REITのヘルケア銘柄の上場動向については、注目しておく必要があるでしょう。現時点では新生銀行や大和証券グループがそれぞれ2014年内の上場を目指して動いていますので、近いうちにその内容が明らかになることでしょう。ただしヘルスケア施設は、従来の伝統的な不動産用途とはリスク・リターン要素が異なります。その点も含め、今後の連載で記載して行きたいと思います。
次ぎに2014年もスポンサーの多様化が2013年と同様に続くのかという点は、今後のJ-REIT市場拡大に対する指標(ベンチマーク)的な役割を果たすことになりそうです。スポンサーとはJ-REITの運営を行っている資産運用会社の株主のことを指します。2012年までのJ-REITのスポンサーは、不動産、金融、商社、外資系という括りで区分できました。しかし2013年に上場した星野リゾート・リート投資法人(証券コード3287)のスポンサーは未上場の中堅ホテル運営会社であり、イオンリート投資法人(証券コード3292)のスポサーは流通大手のイオン(証券コード8267)とスポンサーの多様化が進んだことになります。今後も様々な業種のスポンサーがJ-REITの上場を行うことになれば、J-REIT市場の拡大は継続的に続くことになりそうです。
2.2013年のJ-REIT価格動向の総括.
2013年のJ-REIT市場は、年間の価格騰落率が過去最も高くなった年(図表1)となりました。
東証REIT指数が最高値を付けた2007年(5月末に東証REIT指数は2612.98ポイントまで上昇)を超えた騰落率を2013年は示したことになりますが、2007年の年間平均利回り3.22%と比較して、2013年末の利回りが3.63%と高いことや前回連載でも記載した通り、オフィスビル市況の改善余地がある点から過熱感が強いという状況ではありません。
2013年の価格形成は、J-REITに投資する投資信託部門の「猛烈」とも言える買越し(図表2)で支えられていました。2014年になりNISA制度がスタートしたことから投資信託部門の買越し基調は続くものと考えられます。
コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介
<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>
マネックスからのご留意事項
「特集1」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。