第44回 ヒューリックリート投資法人の特徴について 【J-REIT投資の考え方】

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第44回 ヒューリックリート投資法人の特徴について 【J-REIT投資の考え方】

J-REITの価格は、安定的に推移しています。東証REIT指数は前回の連載(2月6日)から1,450ポイントから1,480ポイントのレンジでの取引となっています。株式市場が大幅に反転するという状況になれば東証REIT指数も1,500ポイントを超えそうですが、当面は1,500ポイントをやや下回る水準での取引が続きそうです。

さて今回は、2月7日に上場したヒューリックリート投資法人(証券コード3295、以下HLR)の特徴について記載していきます。HLRは、みずほ銀行(旧富士銀行)系のヒューリック株式会社(証券コード3003)がスポンサーとなり設立された銘柄です。HLRは、オフィスビル及び商業施設を主要投資用途(ポートフォリオの80%程度)に、シニア向け住宅とネットワークセンターを補完投資用途(ポートフォリオの20%程度)とする総合型銘柄です。HLRでは主要投資用途を「東京コマーシャル・プロパティ」、補完投資用途を「次世代アセット」として区分しています。上場時のポートフォリオ構成は、図表の通りとなり、土地底地権はオフィスビルの底地ですので東京コマーシャル・プロパティで78%程度、次世代アセット22%となっています。


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ポートフォリオの最大比率を占めるオフィスビルの特徴は、駅至近に拘り原則として最寄り駅から徒歩5分以内としている点にあります。オフィスビルのうち徒歩5分を超える物件は1物件ありますが、それも徒歩6分となっています。スポンサー所有物件のうち88%(※)が徒歩5以内の物件となっていますので、今後HLRが取得する物件も上場時のポートフォリオと同様に駅至近の物件が中心になるものと考えられます。

次ぎにHLRの特徴として、シニア向け住宅を投資対象として明確に打ち出した点が挙げられます。シニア向け住宅は既存の上場銘柄でも取得してきた用途ですが、独立した用途区分をして明確に投資対象としている銘柄はありません。その要因として、既存銘柄のスポンサーがシニア施設の運営を行っていないため、運営を外部に委託する必要があることが挙げられます。加えて委託先の運営実績は介護保険制度導入に伴いスタートしている場合が多いため、委託する場合の判断基準が難しいという側面もあります。つまり委託先が何からの要因で破綻した場合のリスクから既存銘柄としては、投資しにくい用途であったと考えられるのです。HLRは、リゾートトラスト(証券コード4681)の子会社及びベネッセホールディングス(証券コード9783)の子会社が委託先となっている物件を取得することで委託先破綻リスクの回避を図っています。

HLRの価格は、上場時の公募価格108,000円から138,300円(2月19日終値)まで30%近い上昇を示しました。その要因として、スポンサーが前述の通り金融機関系不動産会社であるため、投資家である金融機関が投資しやすい点と上場時の低い借入金比率が挙げられます。HLRの借入金比率は36%程度で既存銘柄と比較しても低い水準です。この水準であれば当面の物件取得は借入金で資金調達することになりますので、HLRは分配金の増加余地が大きい銘柄と言えるのです。HLRの1口当たり予想分配金は、通常の6ヶ月決算となる2015年2月に2,797円と公表されていますので、この期を基準に利回りを計算すれば2月19日の価格で4%程度の利回りになっています。さらにHLRは、物件取得による分配金の増加余地が大きいので上場時の公募価格から大きく上昇していると考えられるのです。

懸念材料としては、主要な投資用途であるオフィスビルを今後も取得していく場合にポートフォリオの利回りが低下することが挙げられます。前述の通り、駅至近の東京都内の物件を取得していくものと考えられますが、このような物件は取得競合が激しいため不動産価格が上昇(不動産の利回りは低下)いるのです。長期的な投資判断を行う場合には、物件取得をポートフォリオの利回りをHLRがどのようにバランスさせて行くのかを判断する必要性が高いものと考えられます。


※:ヒューリック株式会社2014年2月3日付け「2013年12月期 決算説明会資料」P10に拠る

コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介

<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>

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