マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。ETFは株式、債券などの『特定の指数』との連動を目指す金融ツールです。したがって、「指数」という金型があってはじめて商品として体を成します。換言すると、ETFとは運用会社と指数提供会社の『合作』であると云えるのです。たとえば、同じ新興国株式ETFでも、MSCIエマージングマーケット指数という『金型』で組成されるのか、あるいは、FTSEエマージング指数という『金型』に嵌め込み運用されるのかで、その「中身」や「期待リターン」は違ってきます。
あまり知られていないことですが、ETFの運用会社は「指数」を算出・管理している指数提供会社に対して、「ライセンス料」を支払う必要があるのです(特定の指数を使わせてもらうためのコストですね)。iシェアーズやSPDR(スパイダー)、バンガードなどの大手ETFプロバイダーは、MSCIやFTSE、S&P ダウ・ジョーンズ、バークレイズなどの指数提供会社の指数を採用しています(日本のETFプロバイダーも同様です)。指数提供会社としては、ETFの売買が盛んになり、その純資産残高が膨らむことで、自らのビジネス(指数提供ビジネス)も拡大するというわけです。
かつては、市場平均というマーケットの『体温』を測る地味な存在であった指数が、ETFの隆盛とともに大きな脚光を浴びているのです。また、指数提供会社だけでなく、証券取引所も指数を組成・算出しています。たとえばNASDAQ(ナスダック)市場はナスダック総合指数を、また東京証券取引所はTOPIX(東証株価指数)を算出しています。その他、ウィズダムツリーや、マーケットベクトルで知られるヴァンエック社のように、ETFの運用会社が自ら指数を組成するケースもあります(自分たちで指数を作ればライセンス料を節約できますし、独自の指数を用いてETFを運用することで、他のETFとの差別化も可能になるためです)。
ところで、一度設定された「指数」の中身は、まったくその姿を変えないのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。株式であれ、債券であれ「指数」に組み込まれる銘柄は定期的に見直されます。多数の国々を内包する指数では、「国そのもの」も見直しの対象となります。一例ですが、MSCIが算出する株価指数、MSCIコクサイ指数(日本を除く先進国)、MSCIエマージングマーケット指数(新興国)、MSCIフロンティアマーケット指数(フロンティア市場)では、この半年で大きな変化を経験しています。昨年11月にギリシャが先進国から新興国市場へ分類が変更され、モロッコが新興国市場からフロンティア市場へ移行しました。また今年の5月には、カタールとUAE(アラブ首長国連邦)がフロンティアから新興国市場へ変更となります。MSCIコクサイ指数に組み入れられる国は現在22ヵ国となります。そして5月以降、MSCIエマージングマーケット指数の構成国は23ヵ国となります。
また、MSCIフロンティアマーケット指数ではカタールとUAEが抜けるため、その構成国がクウェート、モロッコ、ナイジェリア、アルゼンチン、ケニア等となり、大幅に入れ替わります。概して未熟な市場の指数ほど、銘柄、国の入れ替えが頻繁に起こるのです。そして、指数に投資を行うETFのメリットはもちろん、世界経済のダイナミックな変動に無理なく追随できることなのです。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表 http://www.sinyo-fp.com/
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
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