第49回 日本リート投資法人について 【J-REIT投資の考え方】

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第49回 日本リート投資法人について 【J-REIT投資の考え方】

J-REITの価格は安定的に推移し、東証REIT指数は前回連載(4月17日)から1,500ポイントを目指した動きになっています。オフィス市況は改善が続いていますが、J-REITの主力であるオフィス系銘柄の分配金が増加に転じるまでには至っていません。ファンダメンタルズと価格の動きが同一となっているという点でJ-REIT投資を行いやすい状況と言えるでしょう。

さて今回は4月24日に上場した日本リート投資法人(証券コード3296、以下NRIC)について記載して行きます。NRICは総合商社の双日(証券コード2768)をメインスポンサー(資産運用会社の株式保有比率67%)とし、外資系のアセットマネジメント会社2社がサブスポンサーとなっています。投資方針上の用途は、オフィスを主体に住居、商業施設にも投資を行う総合型ですが、上場時はオフィスと住居を保有する複合型でのスタート(図表)となりました。

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NRICが公表した業績予想(※1)に拠れば、1口当たり分配金(以下、単に分配金)は、上場期にあたるため変則決算期間となる2014年6月期に666円、通常の6か月決算となる2014年12月期は7,062円となっています。上場後の価格推移は、上場時の公募価格252,000円に対し初値262,000円、4月30日の終値266,000円と順調なスタートとなりました。通常の6ヶ月決算となる2014年12月の分配金を基に利回りを計算すると5.3%(7,062円×2÷266,000)となります。

ただし、2014年12月期の業績予想では上場に伴い取得した527億円の不動産に関する固定資産税や都市計画税(以下、固都税)が費用化されていないことや内部留保3,000万円を取崩して分配する予定であることには留意が必要です。

まず固都税の影響ですが、業績予想に記載された固都税の取得原価算入額は252日分で1億5,400万円となっていますので、年額換算で2億2300万円程度(1億5,400万円÷252日×365日)、6ヶ月換算にした分配金への影響額は734円程度(1億5,400万円÷252日×365日÷2÷151,810口)となります。次ぎに内部留保の影響ですが、業績予想に開示されている1口当たり当期純利益は6,861円となっていますので、分配金との差額201円が影響額となります。なおNRICが内部留保を持っている理由は、2011年3月に4物件を取得し運用を開始していたことで当期純利益が積み重なったためです。

2014年12月期に固都税が費用化され内部留保の取崩がなかった場合の分配金は、6,127円(7,062円ー734円ー201円)となり、この金額がいわゆる巡航分配金に相当します。4月30日の終値で分配金利回りを見ると巡航分配金でも4.6%と高い水準です。従って現状価格水準では投資妙味がある状態と考えられます。

一方でより慎重に投資妙味を検証したい場合には、次回の増資で巡航分配金水準が維持できることが確認できてからの方が適切となりそうです。その理由として取得額に対する借入金比率が55%程度(※2)と他銘柄と比較すると高い水準になっていることが挙げられます。NRICが資産規模を拡大するためには、比較的早い段階での増資が必要と考えられるのです。

価格は前述の通り順調に推移していますので、プレミア増資(1口当たり出資額を上回る価格での増資)が可能な状態です。この面では、分配金を増加させる増資が可能です。ただし増資に伴い取得する物件の利回りが、上場時ポートフォリオを下回る水準になると分配金が減少する可能性もあります。NRICの投資用途は、取得競合が激しく物件の取得利回りが低下していますので、上場後最初の増資が分配金を成長させるものとなれば長期的な投資を行う判断材料としてプラスと考えられるのです。


※1:NRIC、2014年4月24日付「平成26年6月期及び平成26年12月期の運用状況の予想に関するお知らせ」

※2:NRICの財務方針上では借入金比率の上限は、60%と目処としている。ここでの借入金比率は資産増額に対する借入金の割合になっており、2014年12月期末時点では47.2%になる見込みとNRICは業績予想で示しているため、物件の取得余地が財務方針上ではあることになる。


コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介

<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>

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