第56回 ジャパン・ホテル・リート投資法人について 【J-REIT投資の考え方】

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第56回 ジャパン・ホテル・リート投資法人について 【J-REIT投資の考え方】

J-REIT価格の上昇基調は、8月に入っても衰えていません。東証REIT指数は、本稿掲載日の8月21日に1,646.24ポイントまで上昇しました。2013年末の指数値は1,515.01ポイントでしたので、上昇率は9%近くになっています。しかし、先月には国債利回りの低下に伴い金融機関が大幅に買越しを行ったことが示す通り、投資家需要が高い状態が続いています。従って当面は、東証REIT指数で1,650ポイントを目指す動きが続くことになりそうです。

さて今回は、8月20日に増資(以下、増資)を公表したジャパン・ホテル・リート投資法人(証券コード8985、以下JHR)について記載して行きます。JHRは、2011年4月にスポンサーがシンガポール系のファンド会社に変更となり、2012年4月にジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人と合併し、投資法人名を現名称に変更しています。

JHRの特徴は、まず運用資産がホテル特化型であり、ホテル収益に連動した変動賃料の割合が高いことが挙げられます。JHRの第15期(2014年12月期)の業績予想における営業収益127億円弱のうち変動賃料は36億円程度と28%程度となっています。他銘柄でも変動賃料を一部採用している銘柄はありますが、JHRは変動賃料の割合が10%を超える唯一の銘柄となっています。

次の特徴として、合併時に投資口を12分割し年1回決算と変更したことが挙げられます。J-REIT市場では、合併やNISA制度の開始に伴い投資口を分割している銘柄が大半を占めていますが、JHRの分割割合は最も高くなっています。そのため、JHRは6万円程度(8月21日時点)で投資できる銘柄となっているのです。一方でJ-REIT唯一の年1回決算の銘柄であるため、12月の権利確定日に投資口を保有していないと分配金は受領できません。
JHRが年1回決算としている理由は、夏期に収益が高くなるホテルを所有しているため、年2回決算とすると夏期を含む決算期とそれ以外の決算期で分配金の変動が大きくなることに拠るものです。JHRはこの対策として、中間決算期(6月)の権利確定日に投資口を10口以上保有している投資家に対して投資主優待制度(※1)を設けています。

JHRは増資に伴い業績予想(※2)を上方修正し、1口当たり分配金(以下、分配金)を2,058円としています。前述の通りJHRは、変動賃料の割合が高い銘柄であるため、ホテル需要が高い状態が続けば、分配金が増加することが考えられます。
さらに分配金が増加する要因として、3年連続で増資を行ったことで借入金の調達コストが下がる可能性が指摘できます。JHRの前期末(2014年12期末)の調達コストは、2%を超える水準となっていました。この水準はJ-REITの中では比較的高いものとなっていますが、安定的に資本調達が可能であることを金融機関に示すことで借入金の調達コストの低減が期待できます。
JHRの第16期(2015年12期)は、810億円の借入金のうち借換え対象額が200億円を超える金額となっていますこのような点で見れば、JHRは調達コストの低減による分配金の増加余地が他銘柄より大きい銘柄とも言えるのです。


※1:詳細はJHRのHP http://www.jhrth.co.jp/stockholder/index.htmlに記載されている。
※2:平成26年8月20日付け「平成26年12月期(第15期)の運用状況及び分配金の予想の修正に関するお知らせ」に拠る。


コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介

<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>

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