第26回 窓について その2 【福永博之の今さら聞けないテクニカル分析講座】

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第26回 窓について その2 【福永博之の今さら聞けないテクニカル分析講座】

みなさんこんにちは。株式会社インベストラストの福永博之です。今回も窓についてお話したいとと思います。前回は東証2部のソディック(6143)を取り上げ、良いニュースが伝わって「株価が上昇するときの窓」についてお話ししましたが、今回は判断が分かれるニュースが出たあとの株価の反応と「失望から発生した下落時の窓」についてお話したいと思います。
それではチャートをご覧いただきましょう。銘柄は中外製薬(4519)です。


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中外製薬は、8月18日朝刊の一部の報道で親会社のロシュが完全子会社化するのではないかと報じられたことから思惑が先行し、株価は一時値幅制限いっぱいまで買われる展開となりました。

ただその報道のあとに中外製薬が「ロシュによる完全子会社の検討や協議の事実はない」、と否定したことや、ロシュからの正式な発表がなかったことで取引時間中に上げ幅を縮める展開となりました。一方で、数日中にロシュからの発表があるのではないかといった期待も手伝って上げ幅を縮めたところを買われ、下ひげを形成して取引を終える結果となりました。

こうしてみると、中外製薬があけた「窓」は、前回のソディックの例「研削機能を備えた金属3D(3次元)プリンターを開発、10月に発売する」と言った既に確定した事実がサプライズとして伝わったものではなく、「子会社化されそうだ」といったいわゆる「観測記事」に期待先行で買った結果、思惑が交錯して株価は伸び悩んだということが言えるのではないかと思われます。

また窓を開けて下ヒゲ陰線を形成した翌営業日以降もロシュから正式な発表がなかったために値動きが一気に縮小し、十字足や小陽線、小陰線を形成するなどもみ合う結果となっています。
そして25日にはロシュが米バイオ医薬品会社を買収すると取引開始前に伝わったことで、ロシュによる中外製薬買収の可能性が低下したと受け取られ、中外製薬を買っていた投資家や期待していた投資家が一気に売り注文を出し、上昇した反動もあって一気に売り気配となって下方向に窓をあける結果となってしまったのでした。

一般的には窓を開けて上昇すると、そのまま株価の値上がりが続くように考えてしまいがちですが、今回の中外製薬のように、「窓」をあけて上昇したからと言って、かならずしも上昇が続くわけではないということを頭に入れておきましょう。

また、ニュースの内容をよく確認して、「買ってよい窓」と「買ってはいけない窓」があることも覚えておいて、高値掴みにならないよう注意しましょう。さらに、観測記事が伝わったあと、数日たっても会社側から追認の発表が出てこないときには要注意です。

コラム執筆:福永 博之 株式会社インベストラスト代表取締役

http://www.itrust.co.jp/recom/index.php

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