マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。2014年現在、世界のGDPに占める新興国の割合は3割を超えています。米国に上場する「新興国株式ETF」は58本ありますが、そのうち純資産額が100億ドルを超え、かつ1日あたりの売買高が100万口を超えるものは2本しかありません。それが「iシェアーズMSCI・エマージング・マーケッツETF」(EEM)と「バンガードFTSE・エマージング・マーケッツETF」(VWO)です。EEMはMSCIエマージングマーケッツ指数との連動を目指し、VWOはFTSE エマージング指数との連動を目指します。EEMの純資産額はおよそ392億ドル。1日あたりの平均売買高は約6200万口です。それに対し、VWOは純資産額640億ドル、1日あたりの平均売買高はおよそ1180万口です(11月7日現在)。どちらも巨大なETFです。EEMは出来高ではVWOを圧倒しますが、逆に純資産額ではVWOがEEMを上回ります。これは、EEMが流動性の高さ、スプレッドの小ささを求める機関投資家(売買志向)に支持され、逆にVWOは年間経費率の低さから個人投資家(長期志向)に支持されている結果と云えるでしょう。ちなみにEEMの年間経費率は0.67%、VWOのそれは0.15%と大きな開きがあります。
次に指数に注目してみましょう。MSCIエマージングマーケッツ指数は現在23ヵ国の組入れ、FTSE エマージング指数は22ヵ国の組入れです。前者は韓国が構成国に入りますが、後者は組み入れに入っていません。また、MSCIではモロッコ、パキスタンはフロンティアマーケットに属しますが、FTSEではこの2ヵ国は「エマージング指数」に入ります。そして、ギリシャ、カタールの組入れはMSCIエマージングのみとなっています。また、構成銘柄はFTSEエマージングが907銘柄、MSCIエマージングが834銘柄です。EEMとVWOの上位5ヵ国の組入れ国と比率を確認しておきましょう。EEMは、中国18.14%、韓国14.96%、台湾11.91%、ブラジル10.25%、南アフリカ7.34%となっています。一方、VWOは中国21.5%、台湾13.7%、ブラジル12.5%、インド11.1%、南アフリカ9.0%となっています(9月30日現在)。また、直近5年の年率リターンはEEMが3.88%、VWOが5.20%です(10月31日現在)。MSCIエマージングマーケッツ指数は1988年に算出を始めていますが、当初の構成国は10ヵ国のみでした。また、株式時価総額(世界)に占める割合は1%にも及びませんでした(現在は10%を超えています)。
最後に、先進国と新興国株式の推移を振り返っておきましょう。1990年代は一貫して先進国株式のリターンが新興国のそれを上回っていました。逆に2000年代は見事に立場が逆転します(BRICsという言葉が普及し始めました)。しかし、2011年頃から再び先進国株式のリターンが新興国のそれを上回るようになっています。今後も先進国が新興国経済の成長に依拠していくことは間違いありません。新興国は日に日にその役割を増していくのです。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表 http://www.sinyo-fp.com/
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
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