第67回「米国優先株式ETF(PFF)って何?」ETF解体新書

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第67回「米国優先株式ETF(PFF)って何?」ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。株式会社では異なる 2種類以上の株式を発行することが認められています。「優先株式」とは、議決権や新株引受権がない代わりに、普通株に優先して配当を受ける権利を有する株式のことです(総じて配当率も高い)。発行会社にとっては配当コストが余計にかかりますが、通常の増資よりも資金調達が容易になるという利点があります。このような優先株式からなる「iシェアーズ 米国優先株式 ETF」(PFF)をご紹介しましょう。当該ETFは2007年3月に米国市場に上場しました。年間経費率は0.47%、保有銘柄は330です(12月4日現在)。直近20日間の1日あたり平均出来高は366,023口、純資産残高はおよそ117億ドルとなっています。米国では人気を博しているETFのひとつと云えるでしょう。

当該ETFの特徴は、分配金利回りの高さです。直近の分配金利回りは5.61%となっており、毎月分配金が出ます(11月30日現在)。優先株の配当は(普通株と比べ)高めですが、配当は固定されているため、企業業績に応じて配当が変わるわけではありません。また、優先株式は(カテゴリー上は「株式」ですが)、債券としての性格を色濃く持っています。事実、当該ETFの直近3年の標準偏差は6.00%であり、株式のそれと比べると随分小さくなっています(10月31日現在)。また、債券的な性格を持つため、金利変動の影響を受けます。つまり、「iシェアーズ 米国優先株式 ETF」はキャピタルゲインを求める商品ではなく、インカムゲインに特化したツールと認識すべきでしょう。

PFFの国別組み入れは、米国79.96%、イギリス12.92%、オランダ4.96%、フランス1.05%となっており、米国がおよそ8割を占めます。また、業種別では銀行38.27%、各種金融15.69%、不動産13.50%、その他12.14%、保険10.02%と、圧倒的に金融系が多いのが特徴です(いずれも12月4日現在)。そもそも金融機関は規制によって自己資本比率が定められており、優先株を発行しその比率を高めるというニーズがあるのです。

ただし、注意点をひとつ。金融危機が発生した際には、当該ETFの価格は大きく毀損することが予想されます。実際、2007年3月の運用開始時を100とすると、2009年3月にはPFFの価格は60%以上のマイナスとなりました。見方を換えますと、このようなタイプのETFは価格が急落したときこそ、投資妙味が増すと云えます。

参考までに、当該ETFが連動を目指す「S&P 米国優先株式インデックス」の直近10年の値動きを見ておきましょう。2004年当時を100とすると、現在のリターンはおよそマイナス18%となっています。

「S&P U.S. Preferred Stock Index」
http://us.spindices.com/indices/fixed-income/sp-us-preferred-stock-index最後に、米国市場では金融以外の優先株式ETFである「Market Vectors 優先株式(除く金融)ETF」(PFXF)という選択肢もあります。


コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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