第68回「国内市場にアジア株ETFを!」ETF解体新書

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第68回「国内市場にアジア株ETFを!」ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。本年もどうぞよろしくお願い致します。投資信託の需要と供給は基本、『一国』の中で完結しています。一例ですが、日本の投資家は、バンガード社のインデックス・ファンドは原則として買えません(米国の居住者ではないため)。また、ドイツに住むシュミットさんは、日本で設定されている投資信託は原則として買えません(日本の居住者ではないためです)。一方、ETFの需給は『グローバルな市場』の中で決まります。たとえば、国内上場の日経225ETFを買っているのは日本人に限りませんし、米国上場の新興国株式ETFを買っているのは、米国人のみではありません。現在、ETFの純資産残高のおよそ7割を米国上場のETFが占めますが、このように米国が独り勝ちの様相を呈している理由は明快です。ETFは世界に開かれた商品であり、世界中の投資家がもっとも市場が厚いマーケット(米国)を選好しているためです。
換言すれば、日本というローカルマーケットがETFの分野で生き残っていくためには、米国上場とは違うモノを提供する必要があるということ。その際のポイントは、日本という地の利を生かして、日本株以外で日本市場の代名詞となるようなETFを開発することだと思います。筆者が考える答えは、『アジア株ETF』です。欧米の市場と比して、アジア株式なら地理的に近いという利点があります。インド株式まで網羅したとしても、東京とムンバイの時差はわずか3時間30分です。また、アジアの成長性には文字通り、世界中の投資家が注目しています。ただし、アジア株式と云っても、既存の「MSCI エマージング・アジア・インデックス」のような指数にこだわる必要はないと考えます。
日本市場でアジア株ETFを買ってもらうためには、自前の指数を用意し、ETFの独自性を打ち出す必要があると考えます。たとえば「NIKKEIアジア50」や「TOPIXアジア100」のような指数のイメージです。あくまで一例ですが、日本、韓国、中国、台湾、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、インドの中から代表的な50社(あるいは100社)をピックアップして指数を組成するのです(日本を含む、日本を除くという2パターンがあってよいでしょう)。あるいはもっと狭く、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムに絞った「東南アジア50」のような指数も有望でしょう。その指数ですが、必ずしも時価総額加重平均にこだわる必要はないと考えます。日本、韓国、中国、台湾、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、インドを10%ずつ組み入れる「均等型指数」も面白いのではないでしょうか。
要は外国人投資家に、「このETFなら、日本市場で買ってみよう。」と思わせる仕掛け作りが必要なのです。幸い、他のアジア市場で自前のアジア株指数を組成し、それに連動するETFを育てようという動きは今のところないようです。日本に上場する『アジア株ETF』は、リアルタイムに近い形でETFの「現在基準価額」(iNAV)を算出することが可能になります。ETFに個性を持たせることが、ローカルマーケットを活性化させる鍵を握ります。


コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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