第69回「地域特化型ETFについて」ETF解体新書

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第69回「地域特化型ETFについて」ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。ETFの多様性は、投資対象の「細分化」によって進んできました。たとえば、日本株式という投資対象を、規模別で細分化することにより、大型株・中型株・小型株というETFを組成することが出来ます。あるいは(まだ商品としては存在しませんが)、スタイル別で区分けすれば、「日本株バリュー」「日本株グロース」といったETFを作ることも可能です。実は、日本株式を「地域別」で括ったETFが存在します。それが「東海ETF」です。正式名称は「MAXIS S&P東海上場投信」(1553)。当該ETFは、東海地方(愛知県、岐阜県、三重県、静岡県)に本社を置く50の会社を組み入れています(2011年2月に国内市場に上場)。11月28日現在の上位組み入れ10社を見てみますと、1.JR東海 2.トヨタ 3.デンソー 4.スズキ 5.豊田自動織機 6.中部電力 7.マキタ 8.アイシン精機 9.ヤマハ発動機 10.日本ガイシ となっています。輸送用機器の割合が高いことが特徴ですが、リンナイ、リゾートトラスト、ゲオホールディングスなどの内需型企業も組み入れています。当ETFは「S&P 日本地域別指数-東海-」との連動を目指します(米国のS&P Dow Jones 社が日本の地域版指数を算出しているというのも驚きですね)。


地域特化型としてぜひ登場してほしいのが「京都ETF」です。京都は戦後、地場の伝統産業が廃れ、経済的に低迷していた時期がありました。しかし、逆転の発想でニッチな分野に特化し、グローバルな競争力を持つ企業が次々と成長していったのです。仮に「京都ETF」を組成するとすれば、任天堂、日本電産、京セラ、オムロン、村田製作所、ローム、SCREENホールディングス、TOWA、ワコール、島津製作所、三洋化成工業、フジックスなどの銘柄が組み入れ候補に挙がるでしょう。では、海外の「地域特化型」はどうでしょうか。たとえば「米国西海岸ETF」が考えられます。一例ですが、ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州に本拠を置く企業を組み入れるのです。ワシントン州にはボーイング、マイクロソフトなどの本社があります。そしてカリフォルニア州はIT関連の会社が集積し、農業も一大産業となっています。


また、米国と同じように連邦制を取っている国にインドがあります。インド南部の、アーンドラ・プラデーシュ州、カルナータカ州、タミル・ナードゥ州などを包括し「南部インド株ETF」を作ることも可能です。カルナータカ州の州都のバンガロールは、情報技術産業の集積地であり「インドのシリコンバレー」と呼ばれています(ウィプロやインフォシス・テクノロジーズなどのソフトウェア企業が本社を構えています)。あるいは、世界的なアパレル産業が集積するイタリア北部の企業を集めて「イタリア北部ETF」を組成する。また、中国南部の企業に特化して「中国華南ETF」を作ることも可能です。グローバル化が進展する世界は、同時に地方の独自化が進む時代でもあります。地域特化型ETFによって、投資家の選択肢が増えることは間違いないでしょう。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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