マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。筆者がこれまでに購入した書物の中でもっとも高価だったのは、「経済統計で見る 世界経済2000年史(アンガス・マディソン著)」です(なんと13,650円もしました)。同書は紀元1年から2000年までの世界の人口、実質GDPを通観できる貴重な経済統計書です。この中の「世界の実質GDP総額の地域別シェア」を見ると、1500年当時はアジアが世界の中心地で、ヨーロッパはまだ辺境だったことが分かります。西暦1500年のGDPシェアは、西ヨーロッパ17.9%、ウェスタン・オフシューツ0.5%、日本3.1%、アジア(日本を除く)62.1%、ラテンアメリカ2.9%、東ヨーロッパ・旧ソ連5.9%、アフリカ7.4%だったのです(ウェスタン・オフシューツとは、アメリカ、カナダ、オセアニアを指します)。つまり、昨今のアジア地域の勃興は、実は勃興ではなく『復活』と呼ぶべき現象なのでしょう。
香港市場に上場する「iシェアーズ MSCI エマージング・アジア・インデックスETF」(2802)を活用すれば、インドを含めたアジア株式に幅広く投資を行うことが可能です。当該ETFが連動を目指す「MSCI エマージング・アジア指数」は以下の8つの国から構成されます。中国、韓国、台湾、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンです。地域別の組み入れ割合は東アジアが73.52%、インド11.45%、東南アジア14.75%となっています(3月5日現在)。当該ETFは2009年に上場し、年間経費率は0.59%、組み入れ銘柄数は323銘柄です。特徴的なのはインド株(11.45%)について、現物の株式の代わりに「i シェアーズ S&P BSE SENSEX インディア・インデックスETF」を組み入れている点でしょう。
もうひとつのアジア株式ETFも香港に上場しています。それは「バンガード・FTSE・アジア(除く日本)ETF」(2805)です。当該ETFは2013年に上場し、年間経費率は0.38%、組み入れ銘柄数は723銘柄となっています(1月31日現在)。当ETFは「FTSE アジアパシフィック(除く日本、オーストラリア、ニュージーランド)指数」との連動を目指します。同指数に採用される国は、中国、香港、韓国、台湾、インド、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、パキスタンとなっています。中国圏(中国・香港)だけで組み入れ比率が39.2%となるのが特徴です。また、2802では組み入れられていないシンガポールとパキスタンが入っています。
アジア開発銀行(ADB)のレポート「2050年のアジア」では、2050年までにアジアのGDPが世界の半分を占めると予想しています。しかし、次に挙げる「中進国のわな」と呼ばれるリスクも存在します。中進国のわなとは、中所得国の経済発展がある段階で停滞してしまい、先進国のレベルまで到達できないことを指します(後ろから追いかける後発の開発途上国には価格競争面で不利となり、また、先進国のイノベーションにも追随できない状況のこと)。中長期的には中国が、中進国から先進国へ移行できるかがアジア経済の動向を左右することになるでしょう。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表 http://www.sinyo-fp.com/
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
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