マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。米国の俳優ケビン・コスナー氏が製作、主演した映画に「ウォーターワールド」(1995年)があります。この映画は温暖化が進んだ結果、両極の氷が溶けてしまい、海だけが広がる惑星となった地球が舞台となっています。映画の中では「飲み水」と「土」が、人類にとって貴重な価値を持つ資産となっているのです。私たちの現実世界でも、人口増加が続き、森林面積が減少、その結果淡水が不足してくると、水という資源が国際的に取引される商品(コモディティ)となる可能性があります。水を巡って新たなビジネスや技術革新が興り、水の存在そのものが各国の経済成長に影響を及ぼす世の中になるかもしれません。水処理技術に関わる会社、水の浄化施設、あるいはそれに関連する機器などを取り扱う会社をピックアップしたETFが、「パワーシェアーズ・グローバル・ウォーター・ポートフォリオ」(PIO)です。当該ETFは「ナスダックOMXグローバルウォーター指数」との連動を目指します。運用会社はインベスコ・パワーシェアーズ・キャピタル・マネジメントです。特殊型ETFとしては運用履歴が長く、2007年6月に米国市場に上場しています(このようなETFでも、1日当たりの平均出来高が3万口近くあるのです)。4月2日現在の組入れ企業数は35銘柄となっています。
国別の組入れ割合は、アメリカ39.54%、イギリス20.99%、フランス11.77%、スイス8.54%、中国6.12%、日本4.06%、ブラジル3.29%、シンガポール2.76%、フィンランド1.84%、香港0.41%です(4月2日現在)。具体的な企業を見ておきましょう。組入れ第5位には、フローサーブ・コーポレーションが入っています。同社はアメリカテキサス州に本社を構える、ポンプ、バルブ、メカニカルシール(回転機軸封装置)の大手メーカーであり、世界56ヶ国で事業を展開しています。水処理の分野では、標準カートリッジシール、プッシャーシール、特殊用途シールなどを製造しています。また、当該ETFには3社の日本企業が組入れられています。組入れ第8位には栗田工業が入っています。同社は水処理装置、水処理薬品事業などを手掛けています。そして第14位には酉島製作所。同社は海水淡水化に関わる高付加価値のポンプを製造しています。最後に第15位にはオルガノが入っています。同社は水処理の総合エンジニアリング会社です。特殊型ETFを通じて、ニッチで競争力の高い技術を持つ企業を発見できるのもたいへん興味深いですね。パワーシェアーズ・グローバル・ウォーター・ポートフォリオの年間経費率は0.82%です。分配金は年に4回出されます。なお、ナスダックOMXグローバルウォーター指数は年1回、構成銘柄の見直しを行い、四半期に一度リ・バランスを実施しています。最後に、類似のETFとして「グッゲンハイムS&P グローバルウォーターETF」(CGW)や「iシェアーズ グローバル・ウォーター UCITS ETF」(IH2O)などが挙げられます。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表 http://www.sinyo-fp.com/
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
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