第76回「ETF最大のリスクは繰上げ償還」 ETF解体新書

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第76回「ETF最大のリスクは繰上げ償還」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。国内市場に上場する以下の5本のETFが、繰上げ償還、上場廃止される予定です(運用会社はいずれも日興アセットマネジメント)。

1316:上場インデックスファンド TOPIX100日本大型株
1317:上場インデックスファンド TOPIX Mid400日本中型株
1318:上場インデックスファンド TOPIX Small日本小型株
1544:上場インデックスファンド日本株式(MSCIジャパン)
1556:上場インデックスファンド日経中国関連株50

ETFは投資信託が株式市場に上場した商品ですから、運用会社の判断で運用を途中で終了させてしまう、つまり『繰上げ償還する』というのが上記の本旨です。市場に上場する投資信託であるため、繰上げ償還という行為のプロセスとして、最終的に上場廃止となるわけです。したがって、個別株式の『上場廃止』とは意味合いが異なるので注意が必要でしょう。日興アセットマネジメントのサイト内、以下のコラム記事を参照してみます。

『上場廃止・繰上償還』
http://www.nikkoam.com/products/etf/column/column35

上記コラム内で、「投資家の皆様に繰上償還の賛否のご判断を仰ぐ書面決議で可決された場合には、2015年7月3日を取引所最終売買日とし、7月8日に償還することとなります。」という文言がありますが、今後、約款の変更、繰上げ償還の承認を受けて、運用会社は証券取引所に届け出を行い、証券取引所が上場廃止の決定を行う、という流れになります。現状、日本取引所グループのサイト内では、『監理銘柄(確認中)』として5本のETFが掲載されています。

http://www.jpx.co.jp/listing/stocks/supervision/01.html

同取引所が上場廃止の決定を行えば、5本のETFは『整理銘柄』に移行します。現状、上記5本のETFは、通常通り売買を行うことが出来ます。また、繰上げ償還、そして上場廃止が正式に決定したからといって、ETFの市場価格が直ちにゼロ近辺まで暴落するわけではありません(ETFというファンド内には、株式など現物資産の裏付けがあるためです)。ただし、上場最終日が近づくにつれ、市場価格とETFの正味価値(基準価額)の乖離が大きくなる可能性がありますので、上記5本のETFをご所有の方は早めに売却されることをお勧めします。

そもそも、今回の繰上げ償還は、ETFの出来高が伸びず、したがって新たな『設定』(口数の増加)がなく、逆に『交換』(口数の減少)によって純資産額が減り、運用会社が適切な運用の継続が出来ないと判断したために起こったことです。国内上場ETFの中には出来高が少なく、かつ純資産額が小さいものが少なくありません。ETF最大のリスクである繰上げ償還には今後も注意を払う必要があるでしょう。


コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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