第77回「金・貴金属のETF」ETF解体新書

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第77回「金・貴金属のETF」ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。金・貴金属のETFと聞いて最初に思い浮かべるのは、米国市場に上場するものでしょう。2004年に上場した「スパイダー・ゴールド・シェア」(GLD)はあまりにも有名です。また、銀のETFでは2006年に登場した「iシェアーズ シルバー・トラスト」(SLV)が知られています。ETFの形で金・貴金属を保有すると、盗難の心配もなく、少額から機動的な売買が可能になります(ひとつの証券口座でシンプルに管理ができるのも便利です)。最近は、国内市場でも金・貴金属のETFが充実してきています。皆さんは2010年に上場した『金の果実シリーズ』をご存じでしょうか?

同シリーズは4本の金・貴金属ETFからなります。それぞれ「純金ETF」(1540)、「純プラチナETF」(1541)、「純銀ETF」(1542)、「純パラジウムETF」(1543)となっています。この4本のETFは「貴金属上場信託」と呼ばれます(いずれも売買単位は1口単位。1543を除いて1万円未満で売買が可能です)。そもそも「金」は、通貨とコモディティの二面性を持っています。貨幣や有価証券は経済動向によってその価値が浮沈します。しかし、「金」の品質そのものは変わりません。続いて「銀」ですが、これは工業、宝飾品、写真等に使われています。工業用としてコンピュータ、携帯電話などに、また、写真フィルムの感光剤としても有名ですね。あるいは「プラチナ」はどうでしょう。プラチナは燃料電池の電極、ハードディスクなどに使われており、医療、バイオ分野でも重宝されています。そして最後に「パラジウム」は、自動車用の触媒、産業製品(電子・電気材料・歯科用)、宝飾品などに利用されています。


金の果実シリーズのETFはそのしくみがユニークです。三菱商事を信託委託者とし、同社が貴金属の現物を拠出します。そして、三菱UFJ信託銀行が受託者として貴金属現物を国内に保管し、その受益権をETFとして上場させているのです。同シリーズの特徴は『現物の裏付けがある』ということ。現物を裏付けることにより、ETFの純資産額と備蓄される貴金属の量はリンクします。個々のETFを詳しくみてみますと、「純金ETF」は1口が約1gに相当し、コンスタントに日々数万口の出来高があります。次に「純プラチナETF」ですが、こちらも恒常的に数千口の出来高があります(1口が約1gに相当)。

純金ETFと純プラチナETFは1kg相当の口数から、特定の証券会社を通じて現物の金・プラチナに交換することが可能です(これを『小口転換』と云います)。現物が国内で備蓄されているため、宅配便で受け取ることも可能です(ただし、別途手数料がかかります)。「純銀ETF」、「純パラジウムETF」は金・プラチナに比べると出来高が少なめですが、貴重な投資対象となっています。最後に、資産としての金・貴金属は、伝統的な投資対象(株式・債券)と低い相関を持っているのが特徴です。


コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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