第79回「ETFを用いたポートフォリオからの引き出し術」ETF解体新書

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第79回「ETFを用いたポートフォリオからの引き出し術」ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。今年からセカンドライフに入られる、山崎さんご夫妻(仮名)がおられるとしましょう(お二人は65歳です)。今まで以下の「ポートフォリオ」を維持管理することに努めてきました。また、年2回の「リ・バランス」も励行してきました。

円建てMMF(安全資産)30%

先進国債券15%

新興国債券5%

日本株式5%

先進国株式20%

新興国株式20%

先進国REIT5%

(円建てMMF以外はすべてETFで保有)。

仮に山崎さんの金融資産を7000万円とします(お住いの住宅資産は除く)。1000万円は「生活防衛資金」と認識し、ポートフォリオには組み入れません。従って上記ポートフォリオの総額は6000万円となります。

セカンドライフにおいても年2回のリ・バランスは励行しますが、ここではその実施月を1月と7月とします。資産運用を続けるのは、セカンドライフにおいてお金を有意義に使うためですから、資金の引き出し方を決定しなければなりません。山崎さんは毎年1月「リ・バランス」を実施するのと同時に、1年分の生活費をポートフォリオから引き出すことにしました。つまり、山崎さんご夫妻は『運用しながら、定期的な引き出し』を行うわけです。

仮に山崎さんご夫妻の「年金収入」が月18万円程度としましょう。「毎日楽しく生活するには月35万円くらいは欲しいなあ」と考えておられます。現在のポートフォリオがちょうど6000万円ですから、その3.5%で210万円となります。これは月に直すと17.5万円で、年金収入と合わせると山崎さんの希望に叶います。では、年間210万円の引き出しはどのように行うのでしょうか? 答えは簡単です。ポートフォリオの資産配分通り、ETF、円建てMMFを各々『部分解約』するのです(たとえば先進国株式ETFであれば210万円の20%分)。

さらに、お二人の資産管理を高度化させるなら、毎年の引き出しを「パーセンテージ」で行うことをお勧めします。上記の例でいえば、山崎さんは毎年ポートフォリオから3.5%引き出しを行うことになります。ただし、引き出し率を3.5%とすると、ポートフォリオが膨らんだ年は、実際の引き出し額は増え、逆にポートフォリオが縮んだ年は(同じ3.5%でも)引き出し額は減ってしまいます(生活にメリハリをつけることで、この変化に対応する必要があります)。

筆者がパーセンテージによる引き出しをお勧めするのは、「長く生きるリスク」に備えるためです(たとえば、ポートフォリオが大きくマイナスになった年も、前年と同じように210万円を引き出してしまうとポートフォリオの毀損率が高くなってしまいます)。
20年、30年という時間軸で、仮にポートフォリオそのものが年率4.5%の実質リターン(税金・手数料支払い後)を達成できれば、毎年3.5%の引き出しを続けても、名目上1%ずつポートフォリオの価値は増加します。資金ニーズが旺盛な60代は引き出し率を4%とし、70代後半は逆に引き出し率を3%に減らすなどのアレンジも可能でしょう。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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