マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。指数とETFは、よくニワトリとタマゴの関係にたとえられます。指数がないとETFという商品は成り立ちません。また、ETFの普及があってこそ、指数はその役割を拡大させることができました。株式市場であれ、債券市場であれ、実際のマーケットは存在する銘柄の数が膨大です。また、ひとつひとつの銘柄の特性(大きさや流動性)も異なります。したがって、市場全体と云っても、マーケットを最大公約数化した物差しのようなものが必要になります。それが「指数」(インデックス)と呼ばれるものです。ETFやインデックス・ファンドなどのインデックス型商品が誕生する以前は、指数は市場全体の動きを表すバロメーターに過ぎませんでした。
証券業界では有名な話ですが、1980年代、証券会社の店頭で「日経平均を下さい」と言った投資家の人がいたそうです。当時は笑い話でしたが、今では日経平均株価との連動を目指すETFが存在します。ETFのメリットは、誰もが知る市場の平均値、すなわち指数のリターンとリスクをおおよそ投資家が獲得できることでしょう。指数とETFが共同して、投資対象の多様化を推し進めたことは間違いありません。
ところで、指数を提供する会社のことを「指数提供会社」と呼びます。あまり知られていませんが、ETFの運用会社は指数を算出する指数提供会社に対して、「ライセンス料」を支払う必要があります(特定の指数を使用する対価として)。ETFの売買が盛んになり、純資産残高が伸びてETFのマーケットが拡大することで、指数のビジネスも大きくなってきたのです。この指数ビジネスを狙って、たとえば証券取引所が指数の算出を行ったり、あるいは、運用会社が自らオリジナルの指数を組成したりしています。
2012年時点で、世界の株式ETFに指数を提供する会社は40社以上ありますが、上位6社の指数提供会社でシェアの8割以上を占めています(純資産残高ベース)。上位6社とは、S&P Dow Jones、MSCI、Russell 、STOXX、FTSE、NASDAQ OMXです。また2012年にはバンガード社が、運用するETFに採用する指数をMSCIからFTSEなどに変更しました。これは経費(ライセンス料)を引き下げるためと言われていますが、指数提供会社間の競争も熾烈になっています。
一点注意すべきは、指数提供会社が提供する市場平均は、あくまで現時点での姿である点でしょう。指数に組み入れられる銘柄、国・地域は、それぞれの指数提供会社が掲げる見直し基準によって定期的に見直されます。すなわち指数とは、新陳代謝する市場そのもののダイナミズムを取り込み、また市場の変化にキャッチアップするという役割を担っているのです。もちろん、その指数との連動を目指すETFも同じ機能を有することは言うまでもありません。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表 http://www.sinyo-fp.com/
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
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