マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。お金を殖やす舞台では、主役は株式であり、債券は脇役と見なされます(しかし、脇役抜きでは舞台は成り立ちません)。国内市場に上場する債券ETFの中で、異色の輝きを放つのが「アジア国債・公債ETF」(1349)です。当該ETFは、2005年に香港証券取引所に上場し、2009年に国内で初となる債券ETFとして、東京証券取引所に重複上場を果たしました(運用会社はステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・シンガポール・リミテッドです)。
当該ETFはその名の通り、アジアの8つの国・地域の市場(中国、香港、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)で発行される、現地通貨建ての国債および公債を組み入れています。
ポートフォリオの国別構成比率は、中国20.02%、韓国17.04%、シンガポール15.49%、
香港14.92%、マレーシア11.43%、タイ8.96%、インドネシア6.71%、フィリピン5.42%となっています(15年6月末現在)。当該ETFは 「Markit iBoxx ABF 汎アジア指数」との連動を目指して運用されます。ふつう、債券の指数は各国の債券市場の規模に従って配分割合が決められます。しかしこの「Markit iBoxx ABF 汎アジア指数」は、各国の市場規模だけでなく、ソブリン格付け、各市場の流動性などを加味して、8つの国・地域にバランス良く配分がなされています。
多くの先進国では現在、巨額の財政赤字を抱えていますが、アジア諸国は財政赤字の規模が比較的小さく、また格付けも上昇傾向にあります。先進諸国と比べて利回りが高いのも魅力でしょう。かつてはアジア諸国で発行される債券の多くが米ドル建てでした。しかし、1997年のアジア通貨危機を経て、アジア各国は現地通貨建ての債券市場の育成に力を入れており、今では現地通貨建てマーケットが大きく伸びています。
投資家は「アジア国債・公債ETF」を保有することで、異なる通貨、異なる金利を併せ持つことが可能です(中国人民元建て債券への投資が手軽に出来るのもメリットでしょう)。
また、将来的にアジア諸国の通貨が高くなれば、為替差益も期待できます。当該ETFの信託報酬は年0.18%で、最低購入単価も1万円台であり、分散投資がしやすくなっています。また、米国上場の債券ETFは毎月分配金を出しますが、当該ETFの分配金は年2回(1月と7月)に抑えられています。
「アジア国債・公債ETF」の運用レポートを見ると、当ETFの運用成績は設定来で年率5.08%となっています(米ドルベース。ただし、分配金を再投資した場合の数字であり、税金等は考慮されていません)。先進国債券ETFにプラスしてこのようなアジア債券ETFを組み合わせてみてはいかがでしょうか。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表 http://www.sinyo-fp.com/
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
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