マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。指数提供会社のMSCIが1988年に「MSCIエマージングマーケッツ指数」の算出を始めたとき、エマージング市場が具体的にどこを指すのか、多くの人には分かりませんでした。同様に2007年「MSCIフロンティアマーケッツ指数」の算出が開始されたとき、フロンティア市場が意味するものを正確に理解できる人は極めて少数でした。2015年7月末現在、フロンティアマーケッツ指数には24の国が組み入れられています。ここから、代表的な100社をピックアップした指数が「MSCI フロンティアマーケッツ100指数」なのです。
当該指数との連動を目指す「iシェアーズ MSCI フロンティア100 ETF」(FM)は、2012年に米国市場に上場を果たしました。また、当該ETFをJDR形式で国内市場に上場させた「iシェアーズ フロンティア株ETF」(1583)も選択可能です。
両ETFの上位組み入れ国を挙げますと、クウェート25.89%、アルゼンチン12.98%、ナイジェリア12.64%、パキスタン11.21%、ケニア6.02%、オマーン5.56%、モロッコ5.47%となっています(8月20日現在)。アジア地域では組入れ比率は低いものの、バングラデシュ、ベトナム、スリランカなどが入っています。
組み入れ各国のバックグラウンドはさまざまであり、異なる歴史、異なる産業構造を持っています。一人あたりのGDPが3万ドルを超えるクウェートから、千ドル台のバングラデシュまで、経済のステージも大きく異なります(政治の安定度や、民族、宗教もさまざまですね)。
フロンティア市場の各国は総じて経済成長の初期段階にあるため、他のフロンティア国との相関が低く、また、先進国群、新興国群との低い連動性が特徴です。また、フロンティア指数では構成国の入れ替えがしばしば実施されています。一例ですが、2012年7月末時点の「MSCIフロンティア100指数」の上位組み入れ国の比率は、クウェート約31%、カタール約16%、アラブ首長国連邦約12%、ナイジェリア約11%、パキスタン約5%でした。これが2015年7月末時点では、クウェート約26%、 ナイジェリア約13%、アルゼンチン約13%、パキスタン約11%、ケニア約6%となっています。
同指数は算出開始以来、8ヵ国を新たに組み入れ、3ヵ国を除外しています。直近では2014年にカタールとアラブ首長国連邦がエマージング市場に鞍替えとなりました。また逆に、エマージング市場からフロンティア市場に移動になった国として、モロッコ(2013年)、アルゼンチン(2009年)、ヨルダン(2008年)などが挙げられます。今後もフロンティア指数の中身はドラスティックに変わっていく可能性が高いでしょう。
現状、フロンティア市場の時価総額は(世界の株式市場の中で)1%未満となっています。ポートフォリオ内でのフロンティア株の組入れ割合は多くても5%程度までに留めておきましょう。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表 http://www.sinyo-fp.com/
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
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