第1回 米国株の一時的な調整リスクに注意 【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

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第1回 米国株の一時的な調整リスクに注意 【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

みなさま、はじめまして。江守と申します。今後は米国株や為替市場について解説をさせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。

米国株は8月以降の「チャイナショック」を経て勢いよく回復し、年初来高値の水準近辺まで値を戻しました。「米国は本当に力があるなぁ」と感じます。世界のイノベーションを牽引する企業が多く存在することが影響しているのでしょう。また株式投資の裾野が広いことや、他国から多くの投資家が運用先として米国株に投資していることもあるでしょう。そのため、世界の株式市場が混乱をきたすと影響も大きいのですが、立ち直りもまた早いといえます。さて今年の動きを振り返ると、3月と5月に二度高値を試した後、7月に高値を更新できずに下落に転じ、8月から9月に掛けて大きく下げました。この様な動きは、株式市場で俗に言う「10月に買い、5月に売れ」といったアノマリーに沿った動きといえます。過去の10月末から4月末までの騰落率は6.8%と非常に高率ですが、このパターンを今年も踏襲するのであれば、来年の5月ごろまで堅調に推移しそうです。また10月の騰落率が1%を超えた場合、11月から4月末までの騰落率は平均で8.7%となり、5%以上の場合には13.6%に跳ね上がります。今年の10月の騰落率が8%超と高率だったことを考慮すれば、今後の米国株のパフォーマンスに期待したくなりますね。

市場の懸念は「米国の利上げ時期」です。4日には米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が、12月の利上げの可能性に言及し、その日の株式市場では売りが優勢になりました。株式市場は利上げをかなり意識しているといえます。利上げのタイミングを見極める上ではずせないのが、本日(11月6日)発表される10月の米雇用統計です。非農業部門の雇用者数は前月比18万3000人増が予想されています。前月の増加幅が14万2000人と、市場予想を大きく下回り、サプライズとなりました。そのため、発表直後に米国株は大きく売られましたが、その後は利上げ観測の後退から大きく買い戻されました。今回の雇用統計については、市場予想を上回る良い結果だった場合も売られる可能性があります。もっとも、利上げは強い経済環境を示すものであると解釈すれば、株価の調整も限定的になるかもしれません。

注意しておきたい点もあります。それは、今年のこれまでの値動きが2011年と非常に似ている点です。この年は欧州債務危機があり、米国株は4月から5月に掛けて高値をつけ、7月に高値に再チャレンジしましたが失敗し、8月から9月にかけて大きく下落しました。その後は10月に底打ちし、騰落率は9%超と強い回復となりました。しかし、11月には一時6%の下落となるなど、ヒヤリとする場面もありました。今年は12月に利上げの可能性があることから、今月のいずれかのタイミングで一度大きく調整する場面もありそうです。実際、1994年2月や2004年6月の利上げ局面では、利上げ後に米国株は一旦売られました。しかし、利上げ後にはその前後の安値から平均で56%も上昇しました。米国株の上昇が続くと考えるのであれば、利上げが意識される11月から利上げ後の1月に調整局面が見られれば、押し目買いの好機になりそうです。

個人的にはフェイスブック(FB)に注目しています。株価収益率などの指標では割高ですが、今後の成長性に着目したいところです。ちなみに、私もFBユーザーです(笑)。


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江守 哲
エモリキャピタルマネジメント株式会社・代表取締役
大手商社、外資系企業、投資顧問会社等を経て独立。コモディティ市場経験は25年超。現在は運用業務に加え、為替・株式・コモディティ市場に関する情報提供・講演などを行っている。
著書に「LME(ロンドン金属取引所)入門」(総合法令出版)など
共著に「コモディティ市場と投資戦略」(勁草出版)

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