第87回「コモディティETFを展望する」 ETF解体新書

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第87回「コモディティETFを展望する」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。中国をはじめとした新興国の景気減速により、商品市況が大きく落ち込んでいます。たとえば、米国上場の商品ETFである、「iシェアーズ S&P GSCI・コモディティ・インデックス・トラスト」(GSG)は、この1年間でリターンが-41%強となっています。当該ETFは「S&P ゴールドマン・サックス・コモディティ・インデックス」との連動を目指します。同指数が構成する商品先物は24種ありますが、それは大きく3つのセクターに分かれます。

1.エネルギー(原油、天然ガス、ガソリン、灯油など)

2.金・貴金属、産業金属(金、銀、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケルなど)

3.農産物・家畜(小麦、トウモロコシ、大豆、生牛、豚肉など)

実は、コモディティはその投資対象によって下落率が大きく異なっています。この1年半ほどの間で、原油、鉄鉱石は50%以上価格が下落していますが、トウモロコシ、小麦、金などはマイナス20%未満です。FRB(米連邦準備理事会)が12月に政策金利を引き上げれば、利息が付かないコモディティにとってはネガティブな要因となるでしょう。またドル高が続くことで、商品価格はさらに下振れする可能性があります。
株式、債券、不動産と違って、コモディティはその正味価値が極めて計りにくい資産群です。また、市場規模が限られるため、投機的な資金の影響を受けやすいのです。コモディティの特徴はアップダウンとも価格が極端に振れることであり、下げ過ぎた局面は押し目買いのチャンスかもしれません。

価格が大きく下がった原油では、国内上場の「NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信」(1699)が選択肢として挙げられます。当該ETFはNOMURA原油ロングインデックスとの連動を目指します。また、Bloomberg天然ガス サブインデックスとの連動を目指す「ETFS 天然ガス上場投資信託」(1689)も選択可能です。

次にプラチナです。「工業用品」の側面を持つプラチナですが、自動車メーカーフォルクスワーゲンの排ガス不正問題もあり、価格が大きく下がっています(プラチナは自動車の排ガス浄化装置に触媒として使用されています)。こちらは「純プラチナ上場信託(現物国内保管型)」(1541)という選択肢があります。

再び、米国上場ETFに視点を転じますと、「パワーシェアーズDBアグリカルチャー・ファンド」(DBA)があります。当該ETFは主要農作物の先物契約に投資する指数との連動を目指します。また、より投資対象を絞り込むなら、「ETFS とうもろこし上場投資信託」(1696)も選択可能です(こちらは国内上場です)。コモディティ市場は目先の値動きには要注意ですが、長い目で見れば、新興国を中心として経済規模が拡大していくのは疑う余地がありません。長期的には商品市況が改善していくことになるでしょう。


コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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