第89回 「日本株に投資を行うスマートベータETF」 ETF解体新書

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第89回 「日本株に投資を行うスマートベータETF」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。本年もどうぞよろしくお願い致します。「スマートベータ戦略ってインデックス運用なのですか?」という質問をよく受けます。スマートベータETFは、従来型のインデックス商品と伝統的なアクティブ投信の「中間」にあるツールといえるでしょう(スマートベータ指数という言い方をするくらいですから、インデックスの一種であることは否めません)。

スマートベータ戦略を厳密に定義すると、わたしは「Rule-based active」になると考えます。つまり、ルールに基づいたアクティブ運用なのです。スマートベータETFが従来の株価指数連動型のETFと異なるのは、「人為的に銘柄を選ぶ」、「超過収益(アルファ)を求める」という点にあります。低コストなアルファ戦略を取るため、多くの投資家が注目しているのです。本稿では日本株式に絞ってスマートベータETFを紹介します(国内上場分のみ)。

スマートベータ戦略は、企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)に着目して構成銘柄を絞り込みます(具体的には配当、売上高、利益、営業キャッシュ・フローなどに注目します)。たとえば「高配当株ETF」と呼ばれるETFは、配当に的を絞ったスマートベータ戦略といえるでしょう。具体例を挙げてみましょう。はじめに「上場インデックスファンド日本高配当」(1698)があります。当該ETFは2010年に上場。東証配当フォーカス100指数との連動を目指します。同指数は、時価総額と予想配当利回りに着目して選定された100の銘柄で構成されます(株式だけでなく1割はREIT(不動産投資信託)を組み入れています)。

次に「野村日本株高配当70連動型上場投信」(1577)です。こちらは2013年の上場。予想配当利回りが高い70社に投資を行い、組入れ比率は各銘柄均等を旨とします。また、昨年上場したのが「iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF」(1478)です。当該ETFは、MSCIジャパン指数の配当利回りの130%を超える利回りを持つ銘柄に絞って組み入れを行います(信託報酬は0.19%(税抜)と低廉)。

複数のファクターを組み合わせたスマートベータETFが「R/Nファンダメンタル・インデックス上場投信」(1598)です。当該ETFは「Russell/Nomura ファンダメンタル・プライム・インデックス」との連動を目指します。同指数は構成銘柄の比率を算出する際、「売上高」「営業キャッシュ・フロー」「配当金」という3つファクターを用います。

また、スマートベータ戦略には「低リスク型」もあります。「iシェアーズ MSCI 日本株最小分散ETF」(1477)は、価格変動の少ない銘柄を抽出し、それらの銘柄の組み合わせを変えたり、組入れ比率を増減することによって、ポートフォリオ全体の価格変動リスクを抑えることを目指します。

最後に、高配当でかつ低リスクを目指した「上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ」(1399)が昨年12月に上場しています。当該ETFは銀行、その他金融、保険などの業種を銘柄抽出のユニバースから外しているのが特徴です。今後、スマートベータETFが広まってくれば、高コストの伝統的なアクティブ運用は変革を迫られることになるでしょう。


コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

マネックスからのご留意事項

「特集1」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧